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 商標に関する専門用語
  

 No:  060   

商標出願の査定後/先用権・ケース1

 
用語

先使用権のケーススタディ1(周知性の程度)

意味  先使用権は、他人の商標権の効力範囲内で、当該他人の商標の出願前から使用していた周知商標を先使用に係る商品・役務と同一の商品・役務(以下「商品等」という)について継続的に使用できる権利です(商標法第32条)。ここでは先使用権の要件である周知の認識の地域性についてケーススタディします。


内容 @事件の番号:平成3年(ネ)第4601号

A事件の種類:差止請求権不存在確認請求控訴事件

B出願商標:ゼルダ

C指定商品:「被服、布製品及び寝具類」

D争点 先使用権の成否

E控訴人の主張
(イ)商標法三二条一項の規定は、登録主義の例外であるから、「先使用権」の成立を認めるには慎重でなければならず、同項所定の「需要者の間に広く認識されているとき」(以下「周知性」ともいう。)の要件の存在を厳格に判断しなければならない。

(ロ)本件では対象となる商品がDCブランドの婦人服であるから、「需要者」は当該商標の付された商品を購入する一般消費者であり、卸売業者や小売業者は「需要者」にあたらず、「広く認識されている」の概念も、被控訴人標章が相当広範な地域において一般消費者に知れ渡った結果、本件登録商標により、その使用の中止を求められても例外としてその使用を許さざるを得ない程度の状況を前提としていると解すべきである。

F被控訴人の主張
(イ)先使用権を認める趣旨は商標の出願前に使用され、既に出所表示機能を有していた商標の地位を保護しようとするものである以上、「広く認識されている」とは、必ずしも全国的に知られていることを必要とせず、指定商品との関係において取引の実情も考慮して判断されるべきである。

(ロ)また、商標は、最終消費者に対する関係だけでなく、流通段階においても商品の出所を表示するものであるから「需要者」の中に問屋や一般小売業者が含まれることは当然であり、それらの者の間で広く認識されている場合も先使用者の地位を保護する必要があるのであって、一般消費者の間に知れ渡っていることを要しない。

G裁判所の判断
(イ)先使用権の制度の趣旨は、識別性を備えるに至った商標の先使用者による使用状態の保護という点にあり、(中略)両商標の併存状態を認めることにより、登録商標権者、その専用使用権者の受ける不利益とこれを認めないことによる先使用者の不利益を対比すれば、後者の場合にあっては、先使用者は全く商標を使用することを得ないのであるから、後者の不利益が前者に比し大きいものと推認される。かような事実に鑑みれば、同項所定の周知性、すなわち「需要者間に広く認識され」との要件は、同一文言により登録障害事由として規定されている同法四条一項一〇号と同一に解釈する必要はなく、その要件は右の登録障害事由に比し緩やかに解し、取引の実情に応じ、具体的に判断するのが相当というべきである。

(ロ)(被控訴人の)専門店向けの婦人洋装品の業界においては、製造業者は一般消費者に対する直接の宣伝広告を行なわず、主として小売店である専門店に対する展示会その他の宣伝広告により、有力な専門店を獲得し、その専門店を通じて間接的に最終需要者である消費者に対し、自社製品のイメージを浸透させるという方法を採るのであって、商品展示会、ファッションショーの開催、その案内状の発送、ダイレクトメールの発送等により、被控訴人は、本件登録商標に係る商標登録出願の日前から、日本国内において、不正競争の目的でなく、指定商品の範囲に属する婦人服について被控訴人標章の使用をした結果、右商標登録出願の際、現に、被控訴人標章が被控訴人の業務に係る商品を表示するものとして「需要者」としての婦人服のバイヤー、すなわち問屋や一般小売業者の間で広く認識されていたものと認められる。周知性を肯定した原判決は正当である。


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