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@商標法第4条第1項第9号の趣旨
商標は、商品又は役務(以下「商品等」という)の識別機能を営むことにより、商標法の保護対象である業務上の信用を蓄積します。従って商標出願が許可される要件として識別力が要求されます。
しかしながら、博覧会の賞と同一・類似の標章を含む商標を受賞者以外の者に登録すると、その者の商品等が当該博覧会で高い評価を得たような誤解を生じ、品質の誤認を生ずるとともに、博覧会の権威を害するおそれがあります。
そこで受賞者以外の者に上記標章を含む商標を登録しない旨を定めた本号が採用されました。
A商標法第4条第1項第9号の適用要件
(a)博覧会の賞と同一又は類似の標章を有する商標であること。
(イ)「博覧会」は、品評会を含む広い概念です。
(ロ)「賞」とは、例えば賞状などをいい、賞品のことではありません。
(c)「有する」であるので、商標の一部に博覧会の賞を含む場合も該当します。そうした場合でも博覧会の権威を害する可能性があるからです。
(b)博覧会が次の何れかに該当すること。
(イ)政府・地方公共団体(政府等という)が開催する博覧会。
(ロ)政府等以外の者により開催され、特許庁長官が指定した博覧会。
(ハ)外国でその政府等又はその許諾を得た者が開催する博覧会。
(c)その賞を受けた者が商標の一部として当該標章を使用するものでないこと。
博覧会によって優秀性を認められた者にそうした商標を認めても、博覧会の権威を害しないからです。
(イ)「商標の一部として」であるので、賞そのものを商標とすることはできません。他の受賞者が賞と同一又は類似の標章を有する商標を使用できなくなる可能性があるからです。
B商標法第4条第1項第9号の法上の取り扱い
(a)同号に該当するときには、商標出願の拒絶、商標登録の無効・異議申立の理由となります。
本号は、半公益的な不登録事由であるため、除斥期間の適用がありません。
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