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065 商標出願/不登録事由/具体的適格性 |
体系 |
商標制度に関する事項 |
用語 |
商標の具体的適格性とは(商標法第4条第1項) |
意味 |
商標の具体的適格性とは、商標出願の対象である商標が一般的適格性以外に取引の具体的状況に応じて個別的かつ具体的に具備すべき要件をいいます(商標法第4条第1項)。
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内容 |
@商標の具体的適格性の意義
(a)商標出願の登録要件としては、まず商標の機能(自他商品・自他役務の識別力)を発揮するための一般的要件を要求されます(商標法第4条第1項)。商標の機能が発揮されないと、保護対象である業務上の信用が蓄積されないからです。
(b)しかしながら、商標の機能を有していても、商取引の状況の事情により、或いは使用する商品若しくは役務(以下「商品等」という)との関係により、公益的な理由、私益的な理由から商標登録を認めることが不適当な商標が存在します。
(c)そこで商標の具体的適格性を要求することにしました(商標法第4条第1項各号)。
A商標の具体的適格性の内容
(A)公益的事由
(a)国旗等又は外国の国旗と同一又は類似の商標(商標法第4条第1項第1号)
(b)パリ条約の同盟国等の国の紋章その他の記章のうち指定されたものと同一又は類似の商標(商標法第4条第1項第2号)
(c)国際機関を表示する標章のうち指定されたものと同一又は類似の商標(商標法第4条第1項第3号)
(d)白地赤十字の標章等或いは武力攻撃事態等における国民の保護のための特殊標章と同一又は類似の商標(商標法第4条第1項第4号)
(e)日本国又はパリ条約同盟国等の監督用又は証明用の印章であって指定されたものと同一又は類似の標章を有する商標(商標法第4条第1項第5号)
(f)公の秩序又は善良の風俗を害するおそれのある商標(商標法第4条第1項第7号)
(g)商品の品質又は役務の質の誤認を生ずるおそれがある商標(商標法第4条第1項第16号)
(B)半公益的事由
(h)国・地方団体等・非営利公共団体・非営利公共事業又は公益に関する事業であって営利を目的としないものを表示する標章であって著名なものと同一又は類似の商標(商標法第4条第1項第6号)
(i)商品等(商品若しくは商品の包装又は役務をいう。第26条第1項第5号において同じ。)が当然に備える特徴のうち政令で定めるもののみからなる商標(商標法第4条第1項第18号)
(j)他人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている商標と同一又は類似の商標であつて、不正の目的(不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的をいう。以下同じ。)をもつて使用をするもの(商標法第4条第1項第19号)
(C)私益的事由
(k)他人の肖像又は他人の氏名等を含む商標(他人の承諾を得た場合を除く)(商標法第4条第1項第8号)
(l)政府等が開催する博覧会若しくは政府等以外の者が開催する博覧会であって指定されたもの、又は外国でその政府等若しくはその許可を得た者が開催する国際的博覧会の賞と同一又は類似の標章(商標法第4条第1項第9号)
(m)他人の業務に係る商品等を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標又はこれと類似する商標であって、その商品等又はこれらと類似する商品等について使用するもの(商標法第4条第1項第10号)
(n)商標登録出願の日前の商標登録出願に係る他人の登録商標又はこれに類似する商標であって、その商標登録に係る指定商品・指定役務又はこれらに類似する商品等について使用するもの(商標法第4条第1項第11号)
(о)他人の登録防護標章と同一の商標であって、その防護標章登録に係る指定商品・指定役務について使用するもの(商標法第4条第1項第12号)
(p)種苗法第18条第1項の規定による品種登録を受けた品種の名称と同一又は類似の商標であつて、その品種の種苗又はこれに類似する商品若しくは役務について使用をするもの(商標法第4条第1項第14号)
(q)他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標(第10号から14号までに掲げるものを除く。)(商標法第4条第1項第15号)
(r)日本国のぶどう酒若しくは蒸留酒の産地のうち特許庁長官が指定するものを表示する標章又は世界貿易機関の加盟国のぶどう酒若しくは蒸留酒の産地を表示する標章のうち当該加盟国において当該産地以外の地域を産地とするぶどう酒若しくは蒸留酒について使用をすることが禁止されているものを有する商標であつて、当該産地以外の地域を産地とするぶどう酒又は蒸留酒について使用をするもの(商標法第4条第1項第17号)
B商標の具体的適格性の法上の取り扱い
(A)いずれの事由も商標出願の拒絶理由・無効理由・異議申立の理由となります。
(B)公益的事由は、無効理由に除斥期間がなく、かつ後発的な無効理由となります。
(C)半公益的事由は、無効理由に除斥期間がなく、かつ後発的な無効理由となりません。
(D)私益的事由は、無効理由に除斥期間があり、かつ後発的な無効理由となりません。
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