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 商標に関する専門用語
  

 No:  070   

商標出願/不登録事由/4条1項5号

 
体系 商標制度に関する事項
用語

商標法第4条第1項第5号とは(日本国又はパリ条約同盟国等の監督用又は証明用の印章・記号の保護)

意味  商標法第4条第1項第5号は、日本国又はパリ条約同盟国・世界貿易機関の加盟国・商標法条約の締約国(以下「同盟国等」という)の監督用又は証明用の印章・記号であって指定されたものと同一又は類似の標章を有する商標を登録しない旨を定めています。


内容 @商標法第4条第1項第5号の趣旨

 商標法は、商品又は役務(以下「商品等」という)の出所混同を防止することで、商標に蓄積される業務上の信用を保護するため、登録主義(商標法第18条)の下で、商標権(商標法第25条、第37条第1号)を付与するものです。この目的を達成するため、その信用を蓄積する前提として、自他商品・自他役務の識別力(商標としての機能を営むこと)を、商標の一般的適格性として要求します(商標法第3条第1項)。

 しかしながら、自他商品・自他役務の識別力を発揮するものでも、国家や地方公共団体が商品や役務の取引を監督し、或いは証明するために使用する印章・記号を有する商標を一私人に登録すると、当該私人の商品等が公に監督され、或いは保証されたものとの誤解を与え、国家や地方公共団体の監督業務或いは証明業務に支障を与える可能性があります。

 またパリ条約6条の3(1)(a)は、「同盟国は、…同盟国が採用する監督用及び証明用の公の記号及び印章並びにこれらの紋章学上それらの模倣と認められるものの商標又はその構成部分としての登録を拒絶し又は無効とし」と定めており、世界貿易機関に関するTRIP協定及び商標法条約でもパリ条約の規定の遵守が定められています。

 そこで我国は、上述の監督・証明業務を円滑に遂行させるため、そして条約上の必要に応ずるために、公益的不登録事由として商標法第4条第1項第5号を規定しました。

A商標法第4条第1項第5号の適用要件

(a)パリ条約の同盟国等が監督用又は証明用の印章・記号を採用していること。

(b)当該印章・記号が経済産業大臣により指定されていること。
このように定めている理由は、監督用・証明用の印章や記号は、日本国や同盟国等の国旗に比べて数が多く、その全てを権限ある官庁が把握しきれないという事情に鑑み、上記パリ条約第6条は、各同盟国が保護を要する印章・記号を他の同盟国の官庁に通知する旨を定めているからです。

 この通知を受けて経済産業大臣が指定した印章・記号を保護すれば、条約上の義務は果たされます。

(c)当該印章・記号と同一又は類似の標章を有する商標であること。

(イ)「有する」とした理由は、それら印章・記号は特に品質保証的機能が強いので、当該印章・記号と他の構成要素(商品名など)との組み合わせであっても、公的な保証があると需要者が誤解するおそれがあるからです。

(ロ)印章・記号の類似は、商品等の出所混同との関係で規定された通常の商標の類似の概念とは相違し、紋章学上の模倣を排除することができる程度で足ります。

B商標法第4条第1項第5号の法上の取り扱い

(a)同号に該当するときには、商標出願の拒絶、商標登録の無効・異議申立の理由となります。

(b)本号は、公益的不登録事由であるため、除斥期間の適用がなく、後発的無効理由となります。


留意点

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