体系 |
商標制度に関する事項 |
用語 |
商標法第4条第1項第6号とは(国・地方団体等又は非営利公益団体・非営利公益事業を表示する標章) |
意味 |
商標法第4条第1項第6号は、国・地方団体若しくはこれらの機関を又は非営利公益団体・非営利公益事業を表示する標章であって著名なものと同一又は類似の商標を登録しない旨を定めています。
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内容 |
@商標法第4条第1項第6号の趣旨
商標法は、商品又は役務(以下「商品等」という)の出所混同を防止することで、商標に化体される業務上の信用を保護するため、登録主義(商標法第18条)の下で、商標権(商標法第25条、第37条第1号)を付与するものです。こうした法目的を達成するため、保護対象たる業務上の信用を化体する前提として、商標としての機能を営むこと(自他の商品等の識別力)を、商標の一般的適格性として要求します。
しかしながら、商標の機能を発揮するものでも、国・地方団体若しくはこれらの機関を表示する標章と同一・類似の商標を一私人に登録すると、国・地方団体・機関の権威を害します。
また非営利公益団体や非営利公共事業を表示する標章と同一・類似の商標を一私人に登録すると、それら団体・事業の権威を害するとともに、当該団体又は事業主体が商品や役務を提供する場合に、私人の商品等との間で出所混同を生ずるおそれがあります。
そこで半公益的不登録事由として商標法第4条第1項第6号が規定されました。
A商標法第4条第1項第6号の適用要件
(a)国・地方公共団体若しくはこれらの機関又は非営利公益団体・非営利公益事業を表示する標章が存在すること。
(イ)「機関」とは、国・地方公共団体の立法・司法・行政の機関をいいます。
(ロ)「非営利公共団体」としては、例えば大学や宗教法人が挙げられます。
(ハ)「非営利公共事業」としては、例えば地方公共団体が行う交通事業やガス事業などが挙げられます。
非営利公共事業に関しては、事業主体自体に公益性がなくても構いません(私人が行う教育事業など)。事業自体に公益性があれば足りるからです。
(b)当該標章が著名であること。
著名でなければ保護するに足りないからです。
→商標法第4条第1項第6号のケーススタディ1
(c)当該標章と同一又は類似の商標であること。
本号の類否判断に関しては、出所混同が生ずるか否かという観点を含めて判断します。
例えば、オリンピックを意味する文字と次回のオリンピックの開催地を表示する文字と次回のオリンピック開催年とを組み合わせた商標であって、全体としてオリンピックの開催主体との出所混同のおそれがあるものに関しては、本号を適用する余地があります。
B商標法第4条第1項第6号の法上の取り扱い
(a)同号に該当するときには、商標出願の拒絶、商標登録の無効・異議申立の理由となります。
(b)本号は、半公益的不登録事由であるため、無効理由に除斥期間がなく、かつ後発的な無効理由となりません。
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留意点 |
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