体系 |
商標制度に関する事項 |
用語 |
商標法第4条第1項第12号とは(他人の登録防護標章の保護) |
意味 |
商標法第4条第1項第12号は、他人の登録防護標章と同一の商標であって、その防護標章登録に係る指定商品・指定役務について使用するものを登録しない旨を定めています。
|
内容 |
@商標法第4条第1項第12号の趣旨
商標法は、商品又は役務(以下「商品等」という)の出所混同を防止することで、商標に化体される業務上の信用を保護するため、登録主義(商標法第18条)の下で、商標権(商標法第25条、第37条第1号)を付与するものです。こうした法目的を達成するため、保護対象たる業務上の信用を化体する前提として、商標としての機能を営むこと(自他の商品等の識別力)を、商標の一般的適格性として要求します。
しかしながら、商標の機能を発揮するものでも、他人の商標権の効力を拡大した登録防護標の範囲で商標登録すると、当該他人との出所混同を生じ、当該他人の業務上の信用を害することになります。
そこで私益的不登録事由として商標法第4条第1項第12号が規定されました。
A商標法第4条第1項第12号の適用要件
(a)他人の登録防護標章が存在していること。
防護標章とは、登録商標が著名であり、その指定商品・指定役務と非類似の商品等において出所混同を生ずるに至ったときに、当該混同を生ずる商品等に限って登録され、その商品等の範囲について商標権の禁止権を拡張するものです。
従って他人の登録防護標章の範囲で商標を使用すると他人との出所混同を生ずることが確実であり、出所混同を防止することで事業者の信用の維持を図る商標法の目的上から、登録防護標章の範囲に重ねて商標権を付与することは禁止されています。
(b)他人の登録防護標章と同一の商標であること。
(イ)登録防護標章と同一の範囲の外では混同を生ずるかどうか分からないからです。
(ロ)「同一」とは相似形を含みます。
(c)他人の登録防護標章に係る指定商品・指定役務と同一の商品等に使用すること。
(イ)これが登録防護標章により禁止権が拡張された範囲だからです。
(ロ)以下の商標に関しては、本号ではなく、商標法第4条第1項第15号(他人との出所混同を生ずるおそれのある商標)の問題として取り扱います。
・登録防護標章と類似の商標若しくはその一部に登録防護標章と同一若しくは類似の商標を有する商標であって、その登録防護標章に係る指定商品又は指定役務に使用するもの
・登録防護標章と同一の商標若しくはその一部に登録防護標章と同一若しくは類似の商標を有する商標であって、その登録防護標章に係る指定商品又は指定役務と類似の商品又は役務に使用するもの
B商標法第4条第1項第12号の法上の取り扱い
(a)同号に該当するときには、商標出願の拒絶、商標登録の無効・異議申立の理由となります。
(b)本号は、私益的不登録事由であるため、除斥期間の適用があり、他方、後発的無効理由となりません。
|
留意点 |
|