体系 |
商標制度に関する事項 |
用語 |
商標法第4条第1項第14号とは(種苗法による品種登録を受けた品種の名称の保護) |
意味 |
商標法第4条第1項第14号は、種苗法第18条第1項の規定による品種登録を受けた品種の名称と同一又は類似の商標であつて、その品種の種苗又はこれに類似する商品若しくは役務について使用をするものを登録しない旨を定めています。
|
内容 |
@商標法第4条第1項第14号の趣旨
商標法は、商品又は役務(以下「商品等」という)の出所混同を防止することで、商標が獲得する業務上の信用を保護するため、登録主義(商標法第18条)の下で、商標権(商標法第25条、第37条第1号)を付与するものです。こうした法目的を達成するため、保護対象たる業務上の信用を獲得する前提として、自他商品・自他役務の識別力を、商標の一般的適格性として要求します。
しかしながら、識別力はあっても、他人が種苗法による品種登録を受けた品種の名称と同一・類似の商標であって当該種苗と同一・類似の商品等に使用する商標を一私人に登録することは、種苗法の趣旨に反します。
第1に、種苗法は、新品種の保護を図り、一つの品質には単一の名称が使用されることを意図するものであるので、商標の出願の査定時には普通名称に至っていないにしても、当該名称を別の人間が商標として登録することは好ましくありません。
第2に、種苗法による品種の名称は、一定の品質を表示するものであり、需要者もその品質を期待するものでありますから、商標の出願人がそれとは別の品種の商品に当該名称と同一の商標を使用しては、品質の誤認を生ずる可能性があります。
第3に、一定の場合に品種登録を受けた者との出所混同を生ずるおそれがあります。
そこで私益的不登録事由として商標法第4条第1項第14号が規定されました。
A商標法第4条第1項第14号の適用要件
(a)種苗法第18条第1項の規定による品種登録を受けた品種の名称が存在すること。
(イ)種苗法第18条第1項の規定による品種登録とは、農林水産大臣が、新品種の登録の出願をした者に対して、品種登録の番号及び年月日・ 品種の属する農林水産植物の種類・品種の名称・品種の特性・育成者権の存続期間・品種登録を受ける者の氏名又は名称及び住所又は居所などを記載して品種を登録することです。
(ロ)品種の登録期間が経過した後は、商標法第3条第1項第1号(普通名称)又は商標法第3条第1項第3号(記述商標)の規定に該当するものとします。
(b)品種の名称と同一又は類似の商標であること。
同一・類似の範囲でなければ出所混同や品質の誤認などを生ずることがないからです。
(c)品種の種苗又はこれに類似する商品若しくは役務について使用をするものであること。
B商標法第4条第1項第14号の法上の取り扱い
(a)同号に該当するときには、商標出願の拒絶、商標登録の無効・異議申立の理由となります。
(b)本号は、私益的不登録事由であるため、除斥期間の適用があり、他方、後発的無効理由となりません。
|
留意点 |
|