体系 |
商標制度に関する事項 |
用語 |
商標法第4条第1項第19号とは(不正目的で使用される他人の周知商標と同一・類似の商標) |
意味 |
商標法第4条第1項第19号は、日本国内又は外国で周知である他人の商標と同一・類似であって、不正の目的で使用されるものを登録しない旨を定めています。
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内容 |
@商標法第4条第1項第19号の趣旨
従来、周知商標主との信義に反する不正な商標の出願は、商品又は役務(以下「商品等」という)の出所混同を生ずるときには商標法第4条第1項第15号を、そうでないときには、商標法第4条第1項第7号を適用していました。
しかしながら、近年の著名商標の只乗りの増加や、国際交流の拡大から、日本内外の周知商標が要請されました。特に、全国的な著名商標を稀釈化から保護すること、外国周知商標を無断で商標出願することを排除することが望まれました。
さらに不正競争防止法との均衡上から、著名商標の冒用と認められる商標は、出所混同を問わずに不登録事由に掲げる必要がありました。
こうした要請に応えるために平成8年の改正により本号が導入されました。
A商標法第4条第1項第19号の適用要件
(a)他人の業務に係る商品等を表示するものとして、日本国内又は外国で需要者の間に広く認識された商標と同一・類似の商標であること。
(イ)「他人」とは、商標の出願人以外の者をいいます。
(ロ)「外国で」という文言より、例えば海外の周知商標に関して外国での周知商標主に無断で不正にした出願は拒絶されます。(ハ)「広く認識」という文言より周知性が条件となります。
不正な目的のみで一律に登録を排除するとすれば、先願主義の下で信用を保護対象とする商標法の法制上不適当だからです。
(b)不正の目的を以て利用する商標であること。
(イ)「不正の目的」とは、不正な図利的目的、他人への加害目的、その他の取引則上の信義に反する行為をいいます。 →不正の目的とは
(ロ)取引上の直接の競争関係がない者の信義則違反も、“不正”である限り、本号に該当します。
B商標法第4条第1項第19号の法上の取り扱い
(a)同号に該当するときには、商標出願の拒絶、商標登録の無効・異議申立の理由となります。
(b)本号は、半公益的不登録事由であるため、除斥期間の適用がなく、後発的無効理由となりません。
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留意点 |
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