内容 |
@ライセンス契約の意義
商標権は、もともと自己の業務に商標を使用しようとして、特許庁に対して商標出願をした者に対して付与される権利ですが、一旦権利として成立をした後にはこれを財産権として活用したいという要請が強くあります。このため、商標法では、使用許諾制度を導入しており、この制度の下で、当事者間で商標の使用権に関してライセンス契約を締結することができます。
Aライセンス契約の内容 (a)ライセンス契約の種類 契約で求める権利として、
・権利対象である商標を独占排他的に使用できるもの(専用使用権)と、
・当該商標を自分が使用できるだけであって他人の使用を排除できないもの(通常使用権)
とがあります。どちらを選ぶかは、当事者の自由です。
(b)ライセンス契約により使用できる範囲
但し、どちらの権利を選ぶにせよ、登録商標と同一の商標を、指定商品又は指定役務(指定サービス)と同一の商品・役務について使用できるに留まります。
いわゆる登録商標の類似範囲(同一商標で類似の商品・役務、類似商標で同一の商品・役務、類似の商標で類似の商品・役務)において、ライセンシーが故意または過失により他人の商標と混同を生ずる行為をすると、ライセンサーの商標登録が取り消される可能性がありますので(商標法第53条)、注意が必要です。
(c)使用状況の監督
ライセンサーとしては、過失等によりライセンシーがこうした混同行為をしないように監督することができるような契約内容にしておくことが奨励されます。監督義務を果たしているときには、商標登録の取消を免れるからです。
(c)ライセンス契約の範囲
いわゆる専用権(専用使用権ではない)の範囲、すなわち、登録商標と同一の商標を指定商品又は指定役務と同一の商品・役務について使用する範囲であれば、複数の指定商品の一部についてライセンス契約することもできます。
また地域的な限定を付することもできます。
(d)ライセンス契約の効果
ライセンサーは、契約の対象となった商標を、自己の業務として使用すること、例えば商標を商品に付すこと、商標を付した商品を譲渡することができます。
ライセンス契約と類似の概念として、OEM契約がありますが、こちらは、ブランド名を付した商品を勝手に第三者に譲渡することができません。
→OEM契約とは
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