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@商標法第4条第1項第15号の意義
商標法第4条第1項第15号は、同項第10〜12号の総括条項です。
例えば第10号には、他人の周知商標との混同を排除する規定がありますが、その適用範囲は同一・類似の商標であって同一・類似の商品もしくは役務に使用されるものに限られます。この類似範囲を超えて混合を生ずる可能性がある場合には、同項第15号の問題となります。
例えば○○という周知商標が存在する場合に、“○○+株式会社”のような形(商号商標)として商標出願をしてきた場合には、法人格を示す“株式会社”は、需要者にとって印象が薄いので、混合を生ずるか否かの判断に与える影響は比較的少ない場合が多いと考えられます。それに対して“○○+△△+株式会社”という形(ただし、△△は業種を表す言葉)で商標出願されたときにどう判断すれば良いのかが、ここでのテーマです。
A商標法第4条第1項第15号の事例の内容 事例1
[本願商標・引用商標] ダイエー建設株式会社×ダイエー
(×:混同を生じず)
[事件の表示] 平成7年審判第17249号(商標出願拒絶審決不服)
[適用条文] 商標法第4条第1項第15号(他人の業務に係る商品・役務と混同を生ずるおそれのある商標)
[本願指定商品]「建築一式工事、土木一式工事」 商標法第4条第1項第15号該当性を欠く判断される理由:
日本語で「ダイエー」又は「ダイエイ」という称呼を生ずる言葉は、“大永”・“大栄”・“大英”など数多く存在し、これらを営業上の表示又は一部として用いられるものも全国では相当数に達すると認められ、またこうした営業表示は営業者が比較的採用し易いと認められる。
本願商標が外観上ほぼ同一の書体・同一の大きさ・同一の間隔を以て外観上まとまり良く一体性があること(外観上の一体性)に加えて、前述の商号的商標としての一体性を考慮すると、本願商標は、その構成全体か「ダイエー建築」という部分を捉えて商取引に当たる部分が多いと考えられ、「ダイエー」という文字部分のみが独立して把握・認識されることは少ないと考えられる。
そして申立人がダイエーグループを形成し、多角経営を行っている企業であるとしても、建築一式工事・土木一式工事を行う会社として、この種の業界をはじめとして、一般世人に広く認識されているものとは認め難い。
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