体系 |
商標制度に関する事項 |
用語 |
商号商標の類似のケーススタディ(CORPORATION) |
意味 |
商号商標とは、ファームネーム(商号)を表示した構成を有する商標を言います。ここでは商号商標(…Corporation)の類似に関して解説します。
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内容 |
@商号商標の類似の意義
商標は、商品・役務の出所を表示する標識ですが、事業者の商号又はこれと近似する用語を商標の構成として採用することも良くあります。典型的な商号商標は、「株式会社」・「コーポレーション」・「カンパニー」などの用語を含みます。商号商標の類否を判断する際には、そうした用語を省いた残りの構成部分からも商標の称呼が生ずるか否かが問題となります。
ここでは、「コーポレーション」の語を含む商標の類似を検討します。
A商号商標の類似の事例(“=”は類似の意味、“×”は非類似の意味) 事例1
[本願商標・引用商標]リーガル コーポレーション
× REAGAL/リーガル
[事件の表示]平成4年審判第3391号(商標出願拒絶審決不服)
[適用条文]商標法第4条第1項第11号
[本願指定商品]17類 「被服、布製身回品、寝具類」
類似と判断される理由:本願商標の構成のうちの「コーポレーション」は、法人・株式会社・有限会社を意味し、自他商品の識別力が弱い語と考えられるから、需要者が自他商品識別標識として印象に強く残る「リーガル」の文字部分を捉えて、これによって生ずる呼称を以て取引に資する場合も少なくない。従って単に「リーガル」という称呼をも生ずるものと認めることが相当である。
“REAGAL”及び“リーガル”からなる引用商標からは、“リーガル”という称呼が生ずるから、本願商標と引用商標とは類似するものと認められる。
[事例2] [本願商標・引用商標]“i/wiz”דW WITH CORPORATION”
(イタリック体の部分は図形化された文字)
[事件の表示]不服2005−620(商標出願拒絶審決不服)
[本願商標の指定商品]第28類 おもちゃ・人形(その他省略)
非類似の理由:本願商標の構成のうちのイタリック体部分は、大きく立体的に描いたiの飾り文字であり、wizの部分は手書き風の文字である。また本件の商標出願人である法人の名称は“株式会社ウィズ”であり、そのホームページの記載から、本願商標の構成のうちの“wiz”は“ウィズ”という称呼を生ずると判断するのが相当である。
引用商標は、「W WITH
CORPORATION」という構成(但しイタリック体部分はwを丸で囲んだ飾り文字)である。引用商標の構成のうちで「CORPORATION」の部分は法人・団体などを意味する英語であるが、こうした構成においてはことさら「WITH」の部分に着目して取引に資すると見るよりも、構成全体を以て一体不可分のものと認識され、取引に資すると見るのが自然である。
また構成全体から生ずる称呼「ウィズコーポレーション」の称呼も淀みなく一連に称呼し得る。
従って本願商標と引用商標とは類似しないと判断される。
[コメント]
“○+CORPORATION”という構成の商標に関して、一方の商標出願の事例では、○の部分からも称呼が生じ得ると、他方の商標出願の事例では全体として称呼を生ずると判断されました。個々の審決だけを見ていると何故そうなるのかが理解できなくても、2つの審決を対比すると、理屈が推察されます。
一番目の事例では、「リーガル
コーポレーション」のうちの“コーポレーション”は識別力が弱いから、残りの“リーガル”のみでも称呼が生じ得ると判断されました。
二番目の事例では、「W WITH
CORPORATION」の構成全体が一体不可分と解釈するべきだと判断されました。2番目の商標の構成のうちのうち“CORPORATION”の部分の識別力が1番目の商標の「コーポレーション」の識別力と同等であると考えると、
2番目の商標では、“CORPORATION”の言葉だけでなく“WITH”という言葉も相当に識別力が弱い商標であり、従って“ウィズコーポレーション”という称呼のみが生ずると解釈したものと推測されます。
“REAGAL”という語は、“堂々とした”とか“王者のような”という強い意味を有する形容詞であり、単独で商標として用いることに何ら不自然さがないのに対して、
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留意点 |
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