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@特別顕著性の意義
「特別顕著性」は、英米法の“Distinguishness”の翻訳であり、旧法における商標の登録要件(商標出願の拒絶理由など)とされていました。現行法では、特別顕著性という言葉は使われていませんが、考え方のかなりの部分は今日に通ずるもの(例えば品質を誇示するものは品質表示の一形態である)がありますので、ここで解説します。
A特別顕著性の具体例
[事件の表示]昭和33年(行ナ)第29号
[事件の種類]審決取消審判(拒絶査定に対する抗告審判取消請求)・請求認容
[本願商標]SUPER SEW
[商品区分・指定商品]第17類・裁縫機及びその各部その他本類に属する商品
[審決の理由]「SUPER
SEW」は、容易に「非常によく縫える」という意味と解され、単に用途・効能を表示したに止まり、自他商品を識別区別する商標としての特別顕著の要件を備えていない。
[商標出願人の主張]当該商標についての使用方法、商品取引の実際等を考慮すると、「SUPER」の意味が“非常に良い”であり、「SEW」の意味が“縫う”であるであるから、本願商標が「非常によく縫える」という観念を有するということは独善的なこじつけであり、別段意味を考えずに「SUPER
SEW」をそのまま取引されているのが実情である。
[裁判所の判断]「SUPER」は“あり余まる”・“その上に加える”という意義から、今日では“特に優れたもの”を意味する接頭語であり、「SEW」は裁縫機であるSEWING
MACHINEの略称と認められるから、全体として“特に優れた裁縫機”という品質の誇張表現であると認められる。従って審決の判断に誤りはない。
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