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@連合商標制度の意義
(a)他人の既登録商標の類似範囲では、商品の出所混同を防止するために商標出願を拒絶する必要がありますが(商標法第4条第1項第11号)、同一人に対しては、商品の出所混同を生じないため、商標出願を拒絶する必要はありません。しかしながら、一旦、同一人に対して登録された2つの商標の一方が他人に譲渡されたときには、出所混同を生ずるために、これを予防する措置を講ずる必要があります。従来は、本人の登録商標とその類似範囲にある商標とを連合商標として、分離移転をすることができないようにしていました。
(b)連合商標の活用例として、例えばタバコであれば、基本の商標「A」に対して、「Aライト」のように等級・品質・用途を限定する文字を加えた類似商標を連合商標として登録し、商標の品質保証機能の保護を高めるなどということが行われていました。
(c)また不使用取消審判などの特則として、その登録商標を相互に連合商標となっている他の登録商標を使用していれば、登録を取り消されないという規定が設けられていました。
(d)前記の通り、連合商標制度は廃止され、その代わりに分離移転により出所混同を生じる不正な使用をしたときには、その使用をした者の商標の登録を取り消すという制度に移行しました(商標法第52条の2)。
従って、連合商標は廃止されたといっても、分離移転の禁止というルールがなくなっただけであり、従来の連合商標の活用例のような形での商標の使用は現在も可能です。
A連合商標制度の廃止の理由
第一に、前記不使用取消審判などの督促により過剰な不使用商標が単にストック商標として温存されてしまうことになりました。
第二に、商標の類似範囲は、本来時間の経過とともに変化するものであるので、登録の段階で連合商標として関連づけることは好ましくないとされました。
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