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@結合商標の意義
(a)結合商標には、文字と文字との結合・図形と図形との結合のように同種類の要素の結合商標の他に、文字と図形との結合・文字と立体的形状の如き異種類の結合商標とがあります。
(b)結合の態様としては、氷山の図形と「氷山印」の文字との結合のような観念上の結合と(→観念上の一体性とは(結合商標の))、文字を図形の一部として融合させるという如き外観上の結合(→外観上の一体性とは(結合商標の))とがあります。
(c)結合の程度は、需要者に与える印象により、異なります。
例えば前述の氷山の図形の傍に小さく「氷山印」の文字をおけば需要者に直ちに理解できます。
しかしながら、商標の構成として、「リラタカラヅカ」という文字(リラは古代ギリシャ語で抱琴の意味)の下に、リラ(抱琴)の図形と「宝塚」の文字を配置したレイアウトとしても、図形を見て古代の琴の一種であること、それが「リラ」と呼ばれていたと理解して、「リラタカラヅカ」の「リラ」と結びつける人間は指定商品(石鹸)の需要層では少ないと考えられるため、前述の氷山の図形及び氷山印の文字に比べて結合の程度は低いと言えます。
(d)結合の程度は、下記の通り、商標の類否の判断に影響します。
A結合商標の内容
(a)商標の類否判断は、全体観察が基本ですが、一つの商標の構成から複数の観念・称呼(例えば“亀甲”と“三桝”)が生ずることは経験的に認められることであり(昭和34年(オ)第856号)、こうした場合に分離観察により一つの観念・称呼が類似と認められれば、他の観念・称呼が非類似であっても、両商標はなお類似するものと認められます。
(b)複数の要素が結合してなる結合商標の場合、各要素が分離して観察することが「取引上不自然」でなければ分離観察が正当化されます(昭和37年(オ)953号・リラタカラヅカ事件)。
この事例では、古代ギリシャでリラと称する抱琴の図形と「寳塚」の文字とを上下二段に配してなる標章(「寳」は「宝」の旧字)の上下に、「リラタカラヅカ」及び「LYRATAKARAZUKA」を置いて構成される本件商標と、「寳塚」を縦書にした引用商標との類否が問題と成りませした。
裁判所は、本件商標の「寳塚」と他の図形・文字とは、“それらを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分に結合しているものではない”として、「寳塚」を抽出する分離解釈を行い、引用商標と類似すると判断しました。
→結合商標の不可分性とは
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