内容 |
@TLOの意義
(a)民間企業には、通常、研究開発部門とは別個に、研究成果の発掘・権利化業務(特許出願等)・権利の活用(特許の活用)を包括的に推進する知的財産部があります。
優秀な知的財産部員は、常に技術開発部門の技術者とコンタクトし、或いは、どういうアイディアが特許出願の対象となるのかを説明したり、研究開発の途中に関わりながら、特許出願ができそうな着想の種になりそうなものがないかを探すのです。
(b)しかしながら、従来の大学には、そういう組織が存在せず、せっかく多くの研究資源が集中していながら、その成果を有効に特許出願・ライセンス契約に結び付けることができませんでした。
(c)特に国立大学では、国からの研究費により研究活動をすることができるので、大学の人材が特許出願などの権利化業務の必要性を感じていなかったと思われます。
(d)米国でも、従来は、大学へ公的資金を提供して研究が委託された場合に研究成果は委託者に帰属することが通常であったため、大学は特許出願に対してそれほど熱心ではありませんでした。
しかしながら、米国政府が、公的資金の受託者(大学など)の成果を特許出願して得られたパテントを受託者自身に帰属させる法律(バイドール法)を採用したため、米国の大学は、自ら積極的に特許出願やライセンス契約に乗り出すようになりました。
(c)こうした背景により、我が国でも、大学の研究成果の特許出願・特許の活用を実行するTLOの必要性が認識されるに至りました。
(d)その結果として、国立大学の法人化と相まって、日本でも国がTLOの活動を支援する大学等技術移転促進法が施行され、TLOを通じて、大学が民間企業と共同で特許出願したり、或は大学が単独で特許出願して、特許を受ける権利或は特許を譲渡することができるように環境作りが進められました。
ATLOの内容
(a)TLO法では、国が一定条件をみたすTLOを承認します。
(b)国に承認されたTLOを承認TLOといいます。
(c)承認TLOが受けることができる優遇として、特許出願をした場合には、出願審査請求手数料が、そして当該特許出願が権利化されたときには、特許料がそれぞれ軽減されます。
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