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@事実に反する事項の意義
(a)特許法第29条第2項(進歩性)には、
“特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が前号各号に掲げる発明に基づいて容易に発明をすることができたときは、その発明については、同項の規定にかかわらず、特許を受けることができない。”
と規定されていますが、ここでいう“前号各号に掲げる発明”とは公知の事実を含む広い概念と解釈されています。
(b)発明自体だけでなく、単なる事実の発見や自然法則、ひいては失敗例もそこから何らかの自然法則を導き出せる限りは進歩性否定の根拠となり得るからです。
例えば、“△△の物質は制がん剤となる”旨の発明そのものが進歩性否定の根拠となるだけでなく、“△△の物質は体内で制ガン作用を発揮する物質に変化する。”というような発見でも発明創作の基礎となりえます。
(c)これに対して、“事実に反する事項”は、一般に自然法則に反しているので、発明創作の基礎にはなりません。
(d)もっとも、“物質Aは制ガン作用を発揮する”というべきところを、“物質A’は制ガン作用を発揮する”と誤記した場合であって、特許出願時の技術常識から当業者が正しい内容を推知することができる場合は除外します。
A事実に反する事項の内容
例えば、「表面粗度を大きくすれば接着力が大きくなる」という引用例の記載は事実に反しており、それが特許出願時に周知であった以上、当該引用例を以て本件発明が容易になしえたとすることはできないとした事例があります。
→事実に反する事項のケーススタディ(進歩性)
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