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 パテントに関する専門用語
  

 No:  1040   

占有/特許出願/先使用権

 
体系 権利内容
用語

占有

意味  占有とは、“自己のためにする意思”で物を所持することを言います。


内容 @占有の意義

(a)占有は、占有権の基礎となる事実状態です。

(b)占有を裏付ける実質的な権利を本権といいます。所有権・地上権・賃貸権などです。

 しかしながら、民法は、この本権が存在するかどうかをひとまず置いて、占有という事実的支配を物権として保護しています。社会の秩序の維持のためです。

A占有の内容

(a)発明は技術的思想の創作であり、無体物ですから、事実上の“占有”はできません。このため、特許出願により国に開示した者に対して、独占排他的効力を有する特許権を付与することで保護をしています。

(b)特許法には“占有”という用語は使われていませんが、民法の“占有”の概念を借用して“発明”の置かれた状況を説明することはあります。

(c)例えば特許法79条には先使用権が規定されています。

 先使用権とは、他人の特許出願の日前に自ら発明を行い或いは発明をした者から知得して特許出願の日前から特許発明の実施又はその準備をしていた場合に、特許権の効力を排除して実施又は準備の範囲で発明の実施をすることができる権利です。

(d)先使用権の制度の趣旨を説明する説として、公平説があります。

 これは、特許出願の際にすでに実施をし、又は当該実施の準備をしていた者が、その後の特許出願に係る特許権により実施を継続出来なくなることは、発明を特許出願前に既に占有していることが客観的に明確な善意の先使用者を犠牲にし、特許権者を過剰に保護することになり不公平であるというものです。

(e)前記公平説をとる判例として昭和40年(ワ)第3441号があります。

「先使用の制度は、実用新案出願の際現に善意に国内において其の実用新案の考案と同一技術思想を有していただけでなく、更に進んでこれを自己のものとして事実的支配下に置いていたという考案に対する一種の占有状態が認められる者について、公平の見地から、出願人に権利が生じた後においてもなお継続して実施する権利を認めたものと解するのが相当である。」


留意点

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