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 パテントに関する専門用語
  

 No:  1041   

特許発明/特許出願の意味/進歩性/特許権

 
体系 権利内容
用語

特許発明

意味  “特許発明”とは、特許を受けている発明を言います(特許法第2条第2項)。


内容 @“特許発明”の意義

(a)特許出願をする意味は、特許権を取得して発明の保護を得ることであり、特許権の効力とは、“特許権者は、業として特許発明を実施する権利を専有する。”ことです(特許法第68条)。

(b)特許出願人が開示した発明を社会に公開する代償として付与されるのが特許権ですが、それだからといって特許出願人が明細書に記載に開示して発明の全部が特許の対象となるのではありません。

(c)特許を受けるためには、新規性や進歩性などの厳しい要件を具備する必要があります。従って明細書中に上位概念としての発明(要件A+B+C)が開示されても、審査の結果として、実施例として狭い概念で記載された発明(要件a+b+c)しか特許にならないということがあります。

(d)こうした特許要件上の都合とは別に、或る新規な物の発明をするとともに、第三者がその物の実施できるようにするために(→特許出願の実施可能要件とは)、物の製造方法を明細書に記載した場合、特許出願人の判断として、物の発明の特許は欲しいが、物の製造方法の特許は必要ないという場合もあります。

(e)こうした事情を考慮して、特許法は、特許出願の願書の添付書類として、明細書や図面の他に、特許請求の範囲という書面を要求しています。

 そして特許請求の範囲に記載された発明が特許発明です。

 特許法第70条第1項には、「特許発明の技術的範囲は、願書に添付した特許請求の範囲の記載に基づいて定めなければならない。」と記載されています。

A“特許発明”の内容

(a)ここから少し面倒になるのですが、特許請求の範囲に記載される発明は、必ずしも一つとは限りません。特許法第36条第5項に、「請求の範囲には、請求項に区分して、各請求項ごとに特許出願人が特許を受けようとする発明を特定するために必要と認める事項の全てを記載しなければならない。」と記載されています。

 例えば前述の物の発明と当該物の製造発明について特許出願人がともに権利を取得したいと希望する場合があり、それに対応できる制度になっています。

(b)それならば特許法70条第1項中の「特許請求の範囲」は「請求項」で足りるのではないかと言う気もしますが、かつては“特許出願は発明毎にしなければならない。”(一発明一出願主義)を原則としていた時代もあり、そうした事情があった時代にこの規定ができたため、こうした規定振りになっています。

(c)特許法第70条第1項の「請求の範囲の記載」という文言からは、誰が記載するのかが省略されていますが、特許庁の職員(例えば審査官)が自ら特許請求の範囲を記載したり、或いは、このような記載にするべきだと特許出願人に指示したりすることはありません(記載が不明瞭な場合に、こうすれば拒絶理由を免れると示唆することはありますが)。

 特許請求の範囲を記載するのは特許出願人の責任です。

 余分なことを記載せずに発明を特定するのに必要最小限の事項を特許請求の範囲に記載する必要があります。そうしなければ権利範囲が狭くなります。

 また、特許出願人が審査の段階で権利範囲を狭く見せかける陳述を意見書等で行い、一旦権利になると、その陳述に反した広い権利範囲を主張することがありますが、これは包袋禁反言の原則に反しており、認められません。
包袋禁反言の原則とは

(e)特許発明の技術的範囲は特許請求の範囲の記載に基づいて定められますが、文言通りの記載に該当しなくても、均等の範囲であれば、特許権の侵害が認められます。
均等論とは


留意点

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