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①公示の原則の意義
(a)公示の原則は、所有権のような“排他的な権利”を対象とする原則です。
(b)公示の原則の趣旨は、法律関係を整理し、取引の安全を図ろうということです。
例えば登記簿に土地の所有者が甲と記載されており、その記載を信じて甲との取引をしようとする者を保護するためです。
(c)公示手段としては、不動産等を対象とする“登記”、知的財産権などを対象とする“登録”、動産を対象とする“占有”もあります。
(d)公示手段に実際には存在しない権利関係が記載されていた場合に、その記載を信じて取引に入った者を保護するかどうかは、公信力の問題となります。
②公示の原則の意義
(a)特許出願人が開示する発明を社会に公開する代償として付与される特許権は、独占排他的効力を有し、前述の“排他的権利”に相当します。
(b)従って特許法第98条第1項には、次にように記載されています。
「次に掲げる事項は、登録しなければ、その効力を生じない。
一 特許権の移転(相続その他の一般承継を除く。)、信託による変更、放棄による消滅又は処分の制限 (後略)」
(c)もっとも登録を以て効力発生の要件とする本条の規定は、移転などについては登録されればいかなる場合でも効力を生ずるものではありません。実質的な要件を欠いても外形的な表示を信じた者を保護しようというのは前述の公信力の考え方ですが、我が国の登録制度や登記制度では公信力は認められていないというのが定説です。
→公信力とは
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