内容 |
①縮小解釈の意義
(a)規定中の用語を文言通りの意味に解釈すると、規定の趣旨や社会事情に合わないときに縮小解釈が用いられます。ここでは、特許関係の書籍から縮小解釈の事例を紹介します。
②縮小解釈の具体例
(a)特許法第16条第1項には、「未成年(独立して法律行為をすることができる者を除く。)又は成年被後見人がした手続は、法定代理人(本人が手続をする能力を取得したときは、本人)が追認することができる。」と規定されています。
例えば未成年が特許出願をし、明細書の補正をし、次に当該出願について出願審査請求をしたときに、法定代理人はこれらの行為をまとめて追認することができます。
ここで、“追認”とは、“過去の手続を一体としてする追認”でなければならず、例えば特許出願及び出願審査請求を追認して、明細書の補正の追認はしないという如く、一連の手続のうちの一部だけ追認することを含まないと解釈されます。こうした選択的な追認を認めてしまうと、手続をする者(特許出願人)の意図から離れた結果をもたらす可能性があるからです。
(b)審判官の除斥に関して、特許法第139条には、「審判官は、次の各号のいずれかに該当するときには、その職務の執行から除斥される。…7 審判官が事件について直接の利害関係を有するとき」とあります。
ここでいう「利害関係」とは、法律上影響を受ける地位にあることをいい、単なる経済的な利害関係は含まれないと解釈されています(発明推進協会「工業所有権逐条解説」)。
但し、経済的な利害関係は、客観的合理的な理由と認められるレベルのものであれば、審判官の忌避理由(特許法第141条)に該当し得ます。
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