No: |
1076 数値限定の臨界的意義(進歩性の判断)/特許出願 |
体系 |
実体法 |
用語 |
数値限定の臨界的意義とは(進歩性の判断において) |
意味 |
数値限定の臨界的意義とは、特許出願に係る発明の効果の顕著性に結び付くような数値限定の意味合いをいいます。
|
内容 |
①臨界的意義の意味
(a)特許出願の対象である発明の物性を数値で限定するときに、ある数値を大きくすると、特定の特性が徐々に変化するということが一般的であり、そうした場合には、特許出願の請求の範囲に規定された数値範囲とぴったりの先行技術が見当たらなくても、その効果は当業者にとって予想される範囲のことですので、進歩性を認めるには足りません。
(b)しかしながら、変化が急激である場合や異質な効果が発現する場合には、進歩性が認められる余地があります。
典型例としては、数値限定の範囲の内外において作用効果に“連続線における比例的変化の断絶”が存在することです(平成14年第(行ケ)第450号「冷凍装置」事件)。
②臨界的意義の内容
(a)臨界的意義は、特許出願の当初の明細書上において明らかであることが必要です。
特許出願当初の明細書に、特定事項の数値範囲として、例えば“100〜200とするとよく、より好ましくは120〜180である”という記載があり、これを後の補正で“120〜180”に限定をする補正をした場合、狭い範囲に限定することの顕著な効果が記載されない限り、裁判所に臨界的意義を納得させることが難しくなります。
“連続洗浄における比例的変化の断絶”が認められないからです。 →数値限定のケーススタディ(進歩性の判断)
|
留意点 |
|
次ページ
※ 不明な点、分かりづらい点がございましたら、遠慮なくお問い合わせください。 |
|