内容 |
①審判官は、事件毎に特許庁長官が指定しますが、ある人物が(ア)事件の関係者と特殊な関係にある場合、(イ)事件そのものと特殊な関係にある場合は、公平性や信頼を担保できないので、法律上、当該事件から除斥されます。忌避のように当事者等の申し立てがあってから審判の手続から除外されるのではありません。
②上記(ア)に該当する場合として、審判官又は配偶者等が事件の当事者又は参加人(当事者等という)であるとき又はあったときが挙げられます。
当事者等の血族等であるとき又はあったとき、当事者等の後見人等や代理人であるときも同様です。
③上記(イ)に該当する場合として、例えば審判官が事件について不服を申し立てられた査定に審査官として関与したときが挙げられます。
すなわち、ある特許出願について拒絶査定をした審査官は、特許出願人が請求した拒絶査定不服審判の審判官にはなれません。
「審査官又は審判官として査定又は審決に関与したるとき」ではないので、特許出願の拒絶査定不服審判で審決した審判官は、審決取消訴訟で審決が取り消された後に特許庁での審理に関与できます。
④審判官が事件について証人又は鑑定人になったときも除斥されます。
特許法第71条の2には、「特許庁長官は、裁判所から特許発明の技術的範囲について鑑定の嘱託があつたときは、三名の審判官を指定して、その鑑定をさせなければならない。」と定められています。さらに審判官が個人的に特許出願に係る発明の特許性に関する事実を知り、証人となることも考えられます。こうした場合には、審判官は事件から除斥されます。
⑤審判官が事件について直接の利害関係を有するときも同様です。
「利害関係を有する」とは法律上の影響を受ける者(実施権者など)であることを要します。
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