体系 |
審判など |
用語 |
特許請求の範囲の実質上の変更 |
意味 |
特許請求の範囲の実質的な変更とは、訂正前の特許権の効力を超えて特許請求の範囲を変更することをいいます。
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内容 |
①誤記等を名目とする訂正でも、実質上の変更となるものは許されません。
②例えば温度条件「3乃至5°F」を「3乃至5°F」と訂正することが実質上の変更とされた事例があります〔あられ菓子事件(昭和41(行ケ)46号)〕。これは、あられ菓子の製造方法に係る特許出願の願書に添付された特許請求の範囲の第1工程の餅生地の冷蔵温度を上述のように訂正しようとしたものです。
③実質上の変更に相当するとされた理由は次の通りです。
(ア)その記載自体が極めて明瞭であること。
(イ)「3乃至5°F」と「3乃至5°C」との差異が極めて明瞭であるにも関わらず、特許請求の範囲を含む明細書の全文を通じて「3乃至5°F」と記載されており、これが「3乃至5°C」の趣旨であると当業者が理解するのが当然であるとはいえないこと。
→訂正審判のケーススタディ(実質上の変更1)
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留意点 |
上記判決文において最高裁判所は、「上告人の立場からすれば誤記であることが明らかであるとしても、一般第3者との関係からすれば、とうていこれを同一に論ずることはできず、…『3乃至5°F』を『3乃至5°C』と訂正することは…特許請求の範囲の表示を信頼する一般第3者の利益を害する」と述べています。特許出願の明細書作成者が肝に銘ずるべきことと思料します。
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