体系 |
権利内容 |
用語 |
選択発明の態様 |
意味 |
選択発明は、刊行物に記載された発明の発明特定事項の全部又は一部を、その発明特定事項の下位概念(当該刊行物に記載されていないもの)に置き換えた発明ですが、下位概念への置き換えの態様として経験的に2つの態様があります。
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内容 |
①数値範囲の選択
例えば刊行物に記載した化合物の重量%の範囲や温度範囲を、さらにその一部に該当した場合です。刊行物が特許出願の日前に公知であり、進歩性が認められることが必要である場合には、数値範囲をすることで顕著な効果が現れる必要があり、また一般的に数値範囲の臨界的意義が認められることが必要です。
②化合物の選択
殺虫剤の発明の発明特定事項として、引用例には一般式で表される化合物が記載されているのに対して、本件発明では下位概念である化合物が選択されている場合です。
刊行物に反応式として限定された化合物に含まれる下位概念を選択した結果、温血動物に対する毒性の極めて少ない殺虫剤という異質な効果を発揮し、新規性・進歩性を認められた選択発明の事例があります。
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留意点 |
①に関して、数値範囲の限定により顕著な効果(異質な効果又は同質であるが顕著な効果)をする場合には、その数値範囲の全範囲においてそうした効果が現れることが必要です。
判決例として、本願発明の発明特定事項として350~1200℃の反応温度を設定したが、そのうち少なくとも350~500℃までの反応温度では顕著な効果があるとは認められないとされた事例があります(昭和54年(行ケ)114号)。複数の選択肢(組成物)の一部について顕著な効果を欠く場合も同様です(昭和60年(行ケ)51号)。
当たり前のことですが、選択発明に係る特許出願の明細書作成に際しては、発明者との対話を密に行い、顕著な効果を奏しない発明特定事項を請求項に含めないことが重要です。
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