内容 |
①先行の特許出願に係る発明が公知となった後に、発明特定事項の全部又は一部を下位概念とした発明を特許出願した場合、現行の審査基準は、発明特定事項が下位概念で表現されていても必ずしも新規性を喪失するとは限らない、顕著な効果は進歩性の判断材料とするという立場を採っていますが、古い判例には、特別な作用・効果が認められない場合には新規性が否定されるという考え方がありました(一例として昭54年(行ケ)107号参照)。
「特許出願に係る発明が、先行の公知となった特許明細書に記載された発明に包含されるときは、その出願発明がいわゆる選択発明として特許され得る場合を除き、特許法第29条第1項第1号又は第3号により、特許を受けることができることができないものと解するを相当とする。…先行発明には具体的に開示されていない選択肢を選び出し、これを結合することにより先行発明では予期できなかった特段の効果を奏する発明…に特許を与えることを否定する理由はない。」→選択発明の開示
②この判決では選択発明=予期できなかった別段の効果を奏する発明という論法ですが、それでは先行発明が未公開の特許出願に係る発明の場合はどうなるのかという問題があり、現行の新規性・進歩性審査基準は予期できない効果はむしろ進歩性の問題であろうという立場をとっています。
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