内容 |
@契約違反対応条項の意義
(a)契約は当事者相互の合意により成立します。しかしながら、契約相手が必ずしも契約内容を遵守してくれるとは限りません。特許出願や特許権を譲渡したいとか、特許権に基づいてライサセンス契約をしたいというという大筋の合意内容には変わりはないとしても、
・特許出願等の譲渡の対価を何時何時までに分割払いするというような事後的な約束事
・特許ライセンスのライセンサーがライセンシーに対して技術指導を行うというような付随的な約束事
に関してはそれが遵守されない可能性があります。
(b)そうしたことを踏まえて、契約が守られなかったときにどうするのかを定めておく意味があります。
(c)特に特許ライセンス契約において、特許権者(又は特許出願人)が、契約対象である発明の実施により第三者の権利を侵害しない旨を保証するような条項を定めた場合には(→非侵害保証条項とは)、後日第三者との紛争が生じたときにどうするのかを具体的に定めていないと単に保証しただけになりかねませんので、契約締結時点でよく考えるひつようがあります。
A契約違反対応条項の内容
(a)契約違反に対応する条項を設けるときには、契約違反の効果及びその解決手段を決めておくことが通常です。そこまですることにより、契約違反に対する牽制となるからです。
(イ)契約違反の効果としては、例えば契約解除や強制履行、損害賠償などが考えられます。
(ロ)解決方法としては、調停や仲裁なども考えられます。
(b)契約違反条項を設ける時には、泥沼の争いになった状況を想定して、そこから事態を解決するのには何が必要かを考え、契約内容に盛り込むことが重要です。
例えば仲裁機関を利用するなら、単に“この契約に関する紛争は仲裁によって解決する。”と抽象的に契約書に書いておくだけでは不十分であり、
・例えば弁理士会の仲裁センターを利用するというごとく仲裁機関を特定し、
・さらに出来るならばその費用をどう負担するのか
まで決めておくことが望ましいと考えられます。
そうしなければどこの仲裁機関を利用するかを当事者双方で改めて協議しなければなりません。しかしながら、争い事が発生した時点で双方の信頼関係は崩れていますから、どこの仲裁機関を利用するかを巡って争いになり、結局、仲裁の手続きに入れないという可能性があります。
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