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 パテントに関する専門用語
  

 No:  1111   

要素の錯誤/特許出願中/

 
体系 民法
用語

要素の錯誤

意味  要素の錯誤とは、その錯誤がなかった場合には、その意思表示が行われなかったような重大な瑕疵であり、意思表示の無効の理由となる可能性があります。


内容 @要素の錯誤の意義

(a)民法95条には、次のように規定されています。

・意思表示は、法律行為の要素に錯誤があったときは、無効とする。

・ただし、表意者に重大な過失があったときは、表意者は、自らその無効を主張することができない。

(b)“要素の錯誤”の“要素”とは、例えば契約を構成する要素のことを言います。典型的な事例は、物の売買、サービスの提供の契約において、対価の通貨単位を誤認していたという場合である、と一般には解説されています。

 例えばアメリカ人とイギリス人とが契約する場合に、通貨単位が“ドル”であるのに“ポンド”であると誤認していたのであるという場合です。

(c)“錯誤”の程度は、契約の本人が錯誤するというだけでなく、一般人が錯誤をするレベルでなければなりません。例えば甲物件を乙物件と誤信したと言っても錯誤の誤信は容易には認められないのです(大審院2(オ)第683号・大正3年12月15日)。

 日本社会のうちで通貨単位が“ドル”及び“ポンド”の何れかであるかを誤認する場面はとても少ないと考えられますし、“ドル”と“円”との間でも同様です。

 何か特別の事情が限り、“錯誤”があったことを日本の裁判所で裁判所に納得させることは難しいと解釈されます。

(d)要素の錯誤の態様としては、一般に動機の錯誤、表示上の錯誤、表示行為の意味に関する錯誤があると言われています。
要素の錯誤の態様

A要素の錯誤の内容

(a)特許の分野で考えると、例えばライセンス契約において、特許出願中の発明を、特許発明であると誤認していたという場合が想定されます。特許出願中の発明は、特許になるかどうか不確定であり、特許発明に比べて財産的価値が不確定だからです。

 しかしながら、どのような事情で、“特許出願中の発明”を“特許発明”と錯誤したのかを裁判官に納得させる必要があり、普通に契約書を作成している限り、そうした立証は通常は難しいと考えられます。

(b)特許出願中の発明が特許になると錯誤していたことを理由として契約の錯誤を主張した事例として、次のものがありますが、その主張は認められませんでした。
→人工大理石事件(昭和51年(ネ)第1548号)


留意点

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