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1211 実施料率方式/特許出願/職務発明 |
体系 |
特許申請及びこれに付随する手続 |
用語 |
実施料率方式 |
意味 |
実施料率方式とは、職務発明に関して従業者等が受けるべき利益の額を算定するに際して超過売上額から超過利益を導く方式の一つであって、超過売上額に、第三者に実施許諾をした場合の実施料(仮想実施料)を乗じて超過利益を算出するものです。
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内容 |
@実施料率方式の意義
(a)職務発明について従業者等が使用者等に特許を受ける権利(特許出願をする権利)を原始的に取得し、或いは特許を受ける権利や特許権を承継する旨の定め(職務発明規定)が締結された場合には、従業者等は、使用者等から対価として相当の利益を受ける権利を有します。
(b)“相当の利益”は、“超過売上額”から算定される“超過利益”のうち使用者等の寄与分を除いて導かれます。
(c)ここで“超過売上額”とは、“対象製品の売上額”から“法定通常実施権による売上額”を差し引いた金額です。使用者等はもともと法定通常実施権を享受できる立場にあったからです(特許法第35条第1項)。→超過売上額とは
(d)“超過売上額”から“超過利益”を導く際に、使用者等が第三者に実施許諾する特許ライセンスを締結しているときには、普通に、契約で定めた実施料を“超過売上額”に乗ずれば良いのですが、使用者等が自分で実施している場合には、問題があります。
超過売上額に対象製品の利益率を乗じて超過利益を導く方法もありますが(→利益率方式とは)、利益率の設定の仕方に難しさがあります。
そこで自己実施であっても、敢えて第三者に実施許諾をしたものと仮定して、超過売上額に仮想実施料を乗じて(→仮想実施料とは)、超過利益を求めることが行われています。これが実施料率方式です。
A実施料率方式の内容
(a)平成24年(ワ)第1716号(テフロン事件)では、裁判所は次のように述べています。
「原告は,超過売上高に仮想実施料率を乗じるべきではなく,超過売上高に利益率を乗じるべきであると主張する。しかし,原告の主張する利益率40.9%は,平成18年12月期の,被告全体の売上高に対する売上総利益の割合であり,発明Tの実施品である本件2製品の利益率(売上高に対する限界利益の割合)は明らかでないから,本件においては利益率方式によって独占の利益を算定することはできず,超過売上高に仮想実施料率を乗じる実施料率方式によって独占の利益を算定するのが相当である。」
(b)利益率方式及び実施料率方式のどちらも立証が可能であれば、前者を取るべきであると解されます。前者は自己実施の場合の超過利益をより直接的に反映しているからです。しかしながら、その立証は難しいため、殆どの裁判例では実施料率方式が取られています。
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