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 パテントに関する専門用語
  

 No:  1222   

職務発明CS4/特許出願

 
体系 特許申請及びこれに付随する手続
用語

職務発明のケーススタディ4(指示がなかった場合の職務発明該当性)

意味  職務発明とは、従業者等がした発明であって、その性質上使用者等の業務範囲に属し、発明をするに至った行為が使用者等における従業者等の現在又は過去の職務に属する発明を言います。


内容 @職務発明の意義

(a)従業者等が特許出願した発明が職務発明である場合には、使用者等に無償の法定通常実施権が発生します。

 発明の性質上使用者等の業務範囲に属しかつ発明をするに至った行為が使用者等における従業者等の現在又は過去の職務に属するものであるときには、職務発明が成立します。

(b)職務とは、一般に従業者等が使用者等の要求に応じて使用者などの業務の一部を遂行する責務を言いますが、その“要求”とはいかなる意味が問題となります。

 例えば従業者等が特許出願した発明が、当該発明をすることに関する使用者等の指示がなかったものであっても、職務発明と言えるのでしょうか。

 こうした観点が争点となった事例をケーススタディします。

A職務発明の事例の内容

[事件の表示昭和38年(ネ)第2043号

[事件の種類]損害賠償請求控訴事件(控訴棄却)・職務考案該当性を否定

[判決の言い渡し日]昭和42年 2月28日

[考案の名称]石灰窒化炉

[事件の経緯]

(a)控訴人甲は、丙が有していた実用新案権を、丙の死亡により相続しています。

(b)甲は、石灰窒化炉の製造者である乙(被控訴人)が当該実用新案権を侵害しているとして損害賠償を請求しました。

(c)乙は、前記考案はかつて丙が乙に勤務していた時期に完成させた職務考案(大正一〇年法の特許法第14条第2項のもの)であると主張しています。

[裁判所]

(a)被控訴人乙が、本件登録実用新案につき、その主張のように、大正一〇年特許法第一四条第二項の規定による実施権を有するとするためには、

(一)本件考案が丙の勤務に関しされたものであること、

(二)本件考案が、その性質上、被控訴会社の業務範囲に属するものであること

(三)丙が本件考案をするに至った行為が、同人の任務に属するものであることの三要件を充足する場合でなければならない。

(b)本件考案が前掲(一)及び(二)の要件を備えたものであることは当事者間に争いのないところである。

(c)しかして、本件登録実用新案の登録請求の範囲及び丙が昭和二一年一二月から昭和二八年五月取締役退任まで被控訴会社の常務取締役又は専務取締役として技術担当重役の職にあったこと、を総合すると、丙が昭和二六年三月頃、本件登録実用新案にかかる考案を完成するに至るまでの経緯及び同人の当時における職務内容が、いずれも原審認定のとおりであることを認め得べく、原審における右内藤寛の供述中これと牴触する部分は、前掲各証拠と比照して、にわかに措信し難く、他にこれを覆えすに足る証拠はないから、これらの点に関する原判決の記載をここに引用する。

(d)しかして、丙の本件考案完成当時の職務内容が右認定のとおりであることからすれば、同人は、本件考案を完成した昭和二六年三月当時、石灰窒素の製造販売を業務目的とする被控訴会社(被控訴会社が石灰窒素の製造販売を目的とする会社であることは、当事者間に争いがない。)の技術担当の最高責任者として、その経営方針である石灰窒素生産の向上を図るため、技術面において、すなわち、具体的には、窒化炉の効率を高め、生産能力を増大せしめることにおいて、奉仕貢献すべき具体的任務を有していたものと認めるのが相当であり、したがって、丙が本件考案をするに至った行為は、当時同人の任務に属するものであったということができる。

(e)甲の代理人は、この点に関し、考案をするに至った行為がその任務に属するためには、その考案をすべき命令ないしは指示があったことを要するところ、丙にこのような命令ないし指示はなかったのであるから、本件においては、考案をするに至った行為が丙の任務に属するという前掲の要件をみたしたものとはいえない旨抗争する。

 丙に対し、本件考案をすべき旨の命令ないし指示がなかったことは、被控訴人の明らかに争わないところである。

 もとより、具体的にこのような命令ないし指示があったときは、その命令ないしは指示により、その内容たる事項が任務となることはいうまでもないが、このような命令ないしは指示がある場合に限り、任務に属するとすることができるとする控訴代理人の見解は狭きに失し、当裁判所の賛成し難いところである。

 けだし、石灰窒素生産の向上のため不可欠の前提条件である窒化炉の改良考案を試み、もって、被控訴会社の経営に寄与すべきは、直接、右考案等の作業を担当すると、あるいは、これを指導監督するとを問わず、その技術面における最高責任者の地位にあった丙の当然の責務とみるのを相当とするからである。

(f)この場合、丙が、控訴人主張のように当時、技術担当重役とは名目のみで事実上別個に個人会社を主宰していたというようなことは、仮にそれが事実であったとしても、丙が被控訴会社に対して負う前記責務に消長を及ぼすものでないことは、その性質上、多言を要しない。

(g)以上説示のとおり、本件における証拠関係のもとにおいては、被控訴会社は、本件実用新案につき、前述の法定実施権を有するものというべく、したがって、右実用新案権が被控訴会社の行為により侵害されたことを前提とする控訴人の本訴請求は、爾余の点について判断するまでもなく、理由がないものというほかはなく、右と同趣旨に出た原判決は相当であり、本件控訴は失当として棄却を免かれない。


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