No: |
1225 相当の利益の合理性の考慮点2/特許出願 |
体系 |
特許申請及びこれに付随する手続 |
用語 |
相当の利益の合理性の考慮点2(開示状況) |
意味 |
相当の利益の内容を決定する基準の開示とは、職務発明の特許を受ける権利を使用者等に帰属させるなどの条項を定めた場合に従業者等が受けるべき相当の利益の内容を決定するための基準を開示することです。
その開示の状況は相当の利益を従業者等に与えることが合理的であるか否かを判断する際の考慮事項の一つとなります。
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内容 |
@相当の利益の内容を決定する基準の開示の意義
(a)従業者等がした職務発明については、使用者等と従業者等との間で特許を受ける権利を使用者等に原始的に取得させる旨の定めの条項を定めることができます。しかしながら、それにより、従業者等の名義で特許出願することが出来なくなるため、これに対する対価として“相当の利益”を従業者等に補償する必要があります。
使用者等に対して特許を受ける権利又は特許権を予約承継させた場合も同様です。
(b)“相当の利益”は、本来使用者等と従業者等との取り決め(勤務規則)によって決めることが原則です。
しかしながら、現実には、従業者等である技術者は、会社に入社するときに勤務規則を渡され、意味内容を深く吟味していない場合があります。また従業員等が多数いるために前記規則の策定に従業員等の代表者と使用者等とが協議しており(→相当の利益の合理性の考慮点1(基準策定のための協議))、代表者以外の従業者等は協議内容をわかっていない場合があります。
こうした場合において、相当の対価を決定する基準を知らないのは本人の自己責任とするのは、あまりにも酷に失するため、相当の利益の基準の開示状況を考慮事項の一つとして、その基準によって相当の対価を与えることが不合理であるか否かを判断させることにしました(特許法第35条第6項)。
なお、前記基準によって相当の利益を与えるのが不合理と判断された場合或いは基準そのものが存在しない場合には、司法の場において、その発明について使用者等が受けるべき利益などを考慮して相当の利益が定められることになります(同7項)。
A相当の利益の内容を決定する基準の開示の内容
(a)「開示」とは、策定された基準を当該基準が適用される各従業者等に対して提示することを意味します。
(b)適正な開示としては、例えば次に掲げる方法が考えられます。
・従業者等の見やすい場所に掲示する方法
・基準を記載した書面を従業者等に交付する方法
例えば電子メールや社内報等による配信も含まれます。
・従業者等が常時閲覧可能なイントラネットにおいて公開する方法
・インターネット上のウェブサイトにおいて公開する方法
・基準を記載した書面を社内の特定部署に保管し、従業者等の求めに応じて開示する方法
(c)開示の程度
相当の利益の内容、付与条件その他相当の利益の内容を決定するための事項が具体的に開示されている必要があります。
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