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1239 特許出願中のライセンス契約/進歩性/特許出願 |
体系 |
権利内容 |
用語 |
特許出願中のライセンス契約 |
意味 |
特許出願中のライセンス契約とは、独占権付与請求の意思である願書及び発明の開示範囲を確定する出願書類の提出が完了しているものの、実体審査などの特許出願の処理の手続が完了していない段階で、締結されるライセンス契約を言います。
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内容 |
@特許出願中のライセンス契約の意義
(a)特許ライセンス契約は、通常、特許出願に対して設定登録がされた後に行われるものですが、当事者双方の同意があれば、特許出願中でも行うことができます。
(b)敢えて特許出願中にライセンス契約を行う動機としては、次の事が考えられます。
・発明の対象の技術的価値が高く、早い段階で特許出願人と信頼関係を築きたい。
・実施の許諾とともに、ノウハウの提供や技術指導を受けたい。
・発明の対象が流行性を有するもの、例えば消費者における流行やブームを前提としたものであり、特許出願に対する設定登録を待つと実施の時期を逸するおそれがある場合、
(c)もっとも特許出願中の段階では、新規性や進歩性の実体審査を通じて、権利化に至らないリスクや、特許出願人の手により保護範囲が狭くされる(請求の範囲を減縮する)リスクがあり、それを理解してライセンス契約の内容を決定する必要があります。
(d)特許出願中のライセンス契約は、昔から行われていたことですが、これを有効に行うために、平成20年の特許法改正において仮専用実施権の制度(34条の2)及び仮通常実施権の制度(34条の3)が創設されました。
A特許出願中のライセンス契約の内容
(a)特許出願中にライセンス契約を締結することのリスクの一つは、新規性・進歩性等の実体的要件を具備しないために、特許出願が拒絶され、権利化できなくなることです。
特許出願に対して設定登録がされた後でも、他者から無効審判を請求される可能性がありますが、権利関係は特許出願中の方がより不安定なのです。
従ってライセンシーとしては、そうしたリスクを勘案して特許出願中のライセンス料を廉価とすること、
ライセンサーとしては、既納のライセンス料は返還しない旨の条項を契約書に盛り込むこと(→不返還条項とは)
などを検討するべきです。
(b)特許出願中のライセンス契約の別のリスクは、新規性・進歩性等の拒絶理由通知に対応する過程において、請求の範囲が減縮され、ライセンシーが実施しようとする許諾製品が請求の範囲から外れてしまう可能性があることです。
(イ)例えばライセンス契約の締結当初の請求の範囲は、要件A+Bからなる発明であり、補正後には要件A+B+Cからなる発明であったとします。
他方、許諾製品が要件A+B+Dからなるものであるとすると、ライセンシーは特許権による保護を受けられないことになります。
(ロ)請求の範囲の減縮する補正が行われた事実がライセンシーに伝えられなかったために後日トラブルになった事例があります。
→特許出願中のライセンス契約のケーススタディ1
ライセンシーの立場としては、こうした状況を回避するために請求の範囲を減縮したときには、ライセンシーに通知しなければならないという条項を契約書に入れておくことが推奨されます。
(ハ)またこのようにライセンシーが実施をしたい範囲が請求の範囲から外れてしまった場合には、契約を解除できる旨の解除条件を契約書に入れておくことができます。
→解除条件付き契約とは
(c)また特許出願中のライセンス契約の他のリスクとして、出願人が錯誤等により所定の期間(特許出願日から3年間)内に出願審査請求をしなかったり、或いは拒絶理由通知に接して未だ粘る余地があるのに早々に権利化を断念してしまう可能性があります。
こうしたことを回避するために、ライセンシーの立場では、ライセンシー(特許出願人)がライセンシーの同意を得ずに出願を取り下げたりせずに特許の取得に努力すべき義務(特許出願手続の遂行義務)の条項を契約書に入れておくことができます。
→特許出願手続の遂行義務のケーススタディ
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留意点 |
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