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①物権的返還請求権の意義
(a)物権的返還請求権は、物権的請求権の一部であり、所有権の目的物が他人に占有されること等により物権の支配が妨げられている場合に、その返還を請求できる権利です。
例えば空家に人が住み着いて占拠している場合に、その者に対して家の所有者が家から出て行くように請求する場合が該当します。
②物権的返還請求権の内容
(a)例えば貸家・貸し部屋の賃貸借契約では、目的物が有体物であるため、契約終了後に借主が立ち退かないと、その家や部屋を次の人に貸すことができません。
これは目的物の占有により物権が侵害されている状態となるため、物権的返還請求権に基づいて家屋明渡請求訴訟を提起することができます。
(b)他方、特許ライセンス契約は、対象物が無体物である発明であるため、特許ライセンス契約が終了した後に、物権的返還請求権が必要となる場面はありません。
元のライセンシーが勝手に発明を実施することで、ライセンシーの実施の事業を圧迫するなどの不都合を生ずるおそれがありますが、そうしたら、特許権の効力としての差止請求権を行使すれば足りるからです。
もっとも特許出願中のライセンス契約の場合には、ライセンサーが前述のような不都合を回避するため、契約終了後の競業禁止の条項が契約書に盛り込まれる場合があります。
→契約終了後の競業禁止条項
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