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 パテントに関する専門用語
  

 No:  1258   

均等論の第2要件/特許出願

 
体系 権利内容
用語

均等論の第2要件

意味  均等論の第2要件とは、相違部分を対象製品等におけるものと置き換えても、特許発明の目的を達成することができ、同一の作用効果を奏することです。


内容 @均等論の第2要件の意義

(a)均等論とは、特許権の効力範囲を、特許権の請求の範囲の文言通りの範囲から拡張する解釈論です。

(b)特許出願人に請求の範囲を記載させる理由は、発明の保護を求める範囲を、保護を求める本人に明らかにさせることです。特許出願の審査(新規性・進歩性の審査)を行う審査官や審判が請求の範囲を定める訳ではありません。

 そして特許出願の願書に添付された請求の範囲の記載は、これに基づいて特許発明の技術的範囲を定めるべきものとされ(特許法第70条第1項)、その記載から離れて特許発明の技術的範囲を定めるべきでないというのが原則であり、特許権の効力の解釈の大前提であります。

 しかしながら、特許出願の段階で将来の侵害の態様を予想して請求の範囲を記載するのはなかなか難しく、前述の原則は尊重しながらも、その例外として特許発明と均等と認められる範囲に特許権の効力を認める拡張解釈を許容するべきではないか、ということがボールスプライン事件以前から議論されていました。

(c)均等論を認めるとしたらどういう要件が必要だろうかというと、誰でも真っ先に考えるのは、構成要件の置き換えにより、作用・効果の同一性が害されてはならない、ということです。

 例えば特許出願人が強風に対して瓦が飛ばされないようにするためと称して、瓦の両横方向への振れ止め効果を十分に発揮できる工夫を発揮できるアイディアを特許出願しておきながら、特許権の設定登録後にそうした効果を発揮できない製品に対して特許権を行使しようとするのは許されないことです。
均等論の第2要件のケーススタディ1

 そこで均等論を認めるための中核的な要素として、置換により同一の作用・効果を発揮するが故に置換が可能であること(置換可能性)が第2要件に掲げられています。

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(d)均等論の第2要件は、第1要件(本質的事項でないこと)及び第3要件(置換容易)とともに均等論の積極的要件と言われることがあります。

A均等論の第2要件の内容

(a)置換可能性を判断するに際しては、特許発明の目的が重要となります。それが特許出願人が解決しようとした課題であるからです。

(b)ボールスプライン事件後に均等論が争点となった事例として次のものがあります。

・「被告装置は、針先を水平に近い斜めの状態に保持して注射液を調製するものであるが、『ほぼ垂直に保持』するという本件方法発明の構成をこのように置換しても、二室シリンダアンプルの後側可動壁部材をネジ機構を用いてゆっくり押すことにより、敏感な薬剤の簡易な調製を可能としたという本件方法発明の目的を達することは被告も認めるところであって、本件方法発明と同一の作用効果を奏するものということができるから、置換可能性があると認められる。」(平成8年(ワ)第12220号/注射液の調整方法及び注射装置事件)


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