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 パテントに関する専門用語
  

 No:  1277   

均等論の消極的要件の立証責任/特許出願/進歩性

 
体系 権利内容
用語

均等論の消極的要件の立証責任

意味  均等論の消極的要件の立証責任とは、特許発明の構成要件の一部を置換しても実質的な同一性が担保されるにも関わらず、例外的に均等を認めるべきでない事情が存しないことの立証責任であり、均等の法理の適用を否定する側が負うものと解釈されます。


内容 @均等論の消極的要件の立証責任の意義

(a)均等論の消極的要件とは、要素を置換した物・方法が、特許出願前に公知の技術又はこれから当業者が容易に推考可能なものでないこと、及び、対象製品等が特許発明の特許出願手続において特許請求の範囲から意識的に除外されたものに当たるなどの特段の事情がないことです。

(b)消極的要件の他に、均等論が適用されるためには、積極的要件が要求され、これについては均等を主張する者が立証責任を負います(→均等論の積極的要件の立証責任)。

(c)これに対して、消極的要件に関しては、特許権者の側に立証責任を課するに馴染まないものです。

・“特許出願前に公知の技術又はこれから当業者が容易に推考可能なものでないこと”の立証責任が均等を主張する側(特許権者)にあるとして、具体的に何をどう証明すれば良いのかが問題となります。仮に特許出願時に公知となった全ての技術を個々に考慮して進歩性がないことを証明しなければならない、とすれば立証責任は多大なものとなります。

 これに対して、均等を否定する側に立証責任を課する場合には、進歩性を否定するに足る一つの先行技術又は一組の先行技術を発見すれば良いので、その負担は不合理なほどに過大なものとはなりません。

・“対象製品等が特許発明の特許出願手続において特許請求の範囲から意識的に除外されたものに当たるなどの特段の事情がないこと”は、いわゆる包袋禁反言の原則によるものです。包袋禁反言の原則の主張は、特許権の文言侵害の場合には、被告側の抗弁として行われるものですから、均等侵害の場合にも被告側(均等を否定する側)に立証責任を課さなければ、整合性を欠くことになります。

(d)ボールスプライン判決以降の下級審の判決でも、消極的要件に関しては消極的要件については均等を否定する側に立証責任を課する傾向が見られます。そうした判決を紹介します。 

A均等論の消極的要件の立証責任の意義

 平成10年(ワ)第12235号(大阪地裁)は次のように判示しました(裁判年月日:平成12年 2月22日)。

 “対象製品等が、特許発明の特許出願時における公知技術と同一又は当業者がこれから右出願時に容易に推考できたものでなく(均等要件C)、かつ、対象製品等が、特許発明の特許出願手続において特許請求の範囲から意識的に除外されたものに当たるなどの特段の事情がないこと(均等要件D)の立証責任は、被告にある。”


留意点  判決の傾向は、以上の通りですが、均等論の第4要件の立証責任に関しては、ボールスプライン判決直後には議論がありました。
均等論の第4要件の立証責任の論点


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