内容 |
①外国法廷等の意義
(a)米国第28法典(裁判所・裁判手続法)第1782条は、“地方裁判所は当該地区の居住者等に対して、外国法廷又は国際法廷の訴訟手続において利用されるための証拠や陳述書の提出、又は書類等の作成を命ずることができる。”旨を定めています。
(b)前記第1782条中の「外国又は国際の法廷の訴訟手続において利用されるための」(for use in a proceeding in
a foreign or international
tribunal)は、1964年に改正された箇所であり、それ以前には「如何なる裁判所かに係属している如何なる司法的手続に利用されるため」(for
use in any judicial proceeding pending in any court)と規定されていました。
(c)すなわち、“外国又は国際の”という文言が追加され、さらに「裁判所」(court)が「法廷」(tribunal)に変更されました。
(d)この点に関して、判例(General Universal Trading Corp. v. Morgan Guaranty
Trust Co. 936 F.2d
702,706)では、前記法改正に関連して、外国法廷の手続とは“伝統的な裁判所における手続(proceedings before
conventional courts)に限定されない。”という判断を示されています。
すなわち、“司法的作用が発揮される手続(proceedings in which an adjudicative function is
being exercised)”であれば足ります。
例えば、外国の下級判事(magistrates)による調査なども該当するとされています。
②外国法廷等の内容
(a)我が国では特許出願前に国内又は外国において公開された先行技術に基づいて特許発明の新規性や進歩性が否定できるときには、特許無効審判を請求することができます。
(b)この特許無効審判が米国裁判手続法第1782条の外国法廷に該当するのか否かが争われた事件(In re the application
of Ishihara Chemical Co., Ltd., for an Order to take Discovery of
Shipley)を紹介します。
この事案において、ディスカバリーの請求を受けた側(Shipley)は日本の特許無効化手続は第1782条の外国法廷に該当しないと主張しました。
しかしながら、地方裁判所はこの主張を退け、一部(質問状及び自認請求)を除いてディスカバリーの請求を認めました。
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