No: |
1357 Without
prejudice(秘匿特権)/特許出願/ |
体系 |
外国の特許法・特許制度 |
用語 |
秘匿特権(Without prejudice) |
意味 |
秘匿特権(Without
prejudice)とは、和解交渉において、一定の条件の下で当該交渉で交わされた会話或いは用いられた言葉が裁判の証拠として用いられることを言います。
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内容 |
①秘匿特権(Without prejudice)の意義
(a)“Without prejudice”という用語は、訴訟(lawsuit)を解決するための和解交渉の過程で使用されます。
(b)この用語は、特定の会話や言葉が法廷において証拠として用いられることがないことを意味します。
すなわち、それらの事柄はAdmissibility(証拠能力)を欠くものとなります。
→Admissibility(証拠能力)とは
(c)これは、一種の特権(privilege)と考えられます。
“Without prejudice”という文言を使用した場合にこうした効果が得られることを“秘匿特権”ということがあります。
(d)こうした用法は、この用語の第一義的な意義に由来します。
その意義は、譲歩
(concessions)と表明(representations)とは単に紛争の解決という目的を達成するために議題に載せた(mooted)だけです。
従って、後日、訴訟(litigation)になったときに、それらのポイントを実質的に真実と認める(concede)ことを意味するものではありません。
そうすることで自由で率直な交渉が可能となります。 →秘匿特権(Without prejudice)の趣旨
(e)秘匿特権は、英米法(コモンロー)の多くの法制で認められますが、一定の条件を満たす場合に求められます。
→秘匿特権(Without prejudice)の条件とは
(f)他に、“Without
prejudice”の表現は、契約上において、他の権利を行使することを保留する場合に用いられる場合があります。 →Without
prejudiceとは(契約上の)
②秘匿特権(Without prejudice)の内容
(a)特許権は、権利として不安定であり、権利が付与された後に、特許出願前に存在した新たな先行技術が発見され、これにより特許発明の新規性や進歩性が否定されると、特許が無効となる可能性があります。
例えば、特許権者が、自己の特許発明を実施している者に対して、侵害行為を停止するか特許ライセンスを受けるように要求し、他方、
相手方が、特許出願前に既に公開された先行技術により特許が無効である可能性があると指摘し、特許ライセンスを結ぶにしても高額のライセンス料を支払うことはできない旨を回答したとします。
そこで和解交渉の過程において、特許権者がライセンス料を低額とすることには同意するが、その代りに一旦支払われたライセンス料は、たとえ特許が無効になっても返還しない旨の条項を契約に織り込むことを主張したとします。
こうした交渉をしている途中で、特許権者が述べた事柄が後日証拠として使用されると困るので、交渉の冒頭において、“Without
prejudice”であることを明らかにしておく意義があります。
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