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1373 証人(Witness)/特許出願/進歩性 |
体系 |
外国の特許法・特許制度 |
用語 |
証人(Witness) |
意味 |
証人(Witness)とは、法廷の法的手続において証拠を提供する個人を言います。
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内容 |
①証人(Witness)の意義
(a)証人(Witness)は、法廷(tribunal)上の法的手続において、事件に関連ある事柄に関して証言を行います。裁判所の審理に限らず、開示手続で証言するものも含まれます。
例えば特許侵害事件では、発明の開発に携わった技術者や特許出願に関わった知財担当者など、多くの人々が証人となる可能性があります。
侵害事件の被告側の抗弁として、特許の有効性(例えば特許出願の時点で新規性・進歩性が存在したのかなど)を問題とするのが有効な手立てと成り得るからです。
司法制度の法的手続、特にトライアルは、これらの証人が事実認定者に対して提示する事実証拠を頼りとしています。
(b)証人は、自らが見聞きし、或いは観察した事柄に関して、所定の宣誓を行った上で裁判所で証言します。
自らが見聞きした事実に関して証言する者を事実証人と言います。 →事実証人 (Fact witness)とは
これに対して、観察した事柄に関して、自らの知識や経験に基づいて判断をし、意見を述べる者を専門家証人と言います。 →専門家証人
(Expert witness)とは
②証人(Witness)の内容
(a)事実証人と専門家証人は区別されており、事実証人は、自らの意見を述べることができません。
例えば進歩性(非自明性)に関して有名なグラハム判決の事件では、特許発明の対象である農業機械の改良に関して、その改良点が当業者にとって自明であるかどうかが争われました。侵害事件の被告側は、農業機械の分野の大学教授を証人として裁判に招いて“自分にとってはその程度の改良は自明ではない。”旨の証言をさせました。
こうした見解は大学教授の個人的な意見であり、専門家証人にのみ許されることです。
この事件の場合には、証人が専門家の立場として証言していることがはっきりしていますが、証言者の立場次第では事実証人・専門家証人のどちらでも証言し得る場合があり、第三者に証言を依頼する当事者は、どちらの立場での証言を求めるのかを事前に決めておく必要があります。
(b)法的手続、特にトライアルは、事実認定者に対して事実証拠を提示する証人を頼りとしています。当事者の双方が多くのWitnessを抱えているのが通常です。
但し、各当事者のWitnessは相手方の当事者による反対尋問を受けなければなりません。
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