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1378 ダウバートモーション/特許出願/ |
体系 |
外国の特許法・特許制度 |
用語 |
ダウバートモーション(Daubert motion) |
意味 |
ダウバートモーションとは、ダウバート・スタンダードに適合しないことを理由として専門家証言を排除することを求める申し立てをいいます。
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内容 |
①ダウバートモーションの意義
(a)裁判の審理は、当事者が提出する証拠に基づいて行われます。
これらの証拠は、裁判所が受け入れ可能であること、すなわち、証拠としての適格性を備えていることを要求されます。
証拠として、専門家証人の証言を用いる場合、専門家証人は、自らの意見を陳述することができ、その陳述が当事者の主張を裏付けるものであるときには、当事者にとって、自らの主張を立証するための有力な手段となります。
専門家の意見は陪審員を納得させるための強力な武器となるからです。
しかしながら、説得力が強いからこそ、証拠の適格性の有無に関しては適切に検討する必要があります。
例えば、当該専門家の意見が科学者のコミュティにおいておおよそ受け入れた理論の結果であっても、例えば検証不可能であったり、理その理論について知られた誤差が大き過ぎる場合などには、ダウバート・スタンダードによれば、裁判所は当該証拠を受け入れるべきではありません。
→ダウバートスタンダード(Daubert standard)とは
こうした場合に、その専門家証人の陳述を裁判所の審理から排除されることを申し立てることを、ダウバートモーションと言います。
(b)“審理から除外される”とは、全く審理されないことをいい、単に証拠の信頼性が低いこととは意味が異なります。
(a)ダウバートモーションは、科学的専門家の証言だけでなく、その他の専門家、例えば技術的専門家、損害専門家(damage
expert)の意見に対して行うことができます。
②ダウバートモーションの内容
(a)特許訴訟の場合、技術的専門家よりも、損害専門家において、ダウバートモーションが行われることが多いと言われています。
技術的専門家が、例えば特許出願の技術水準などに照らして、特許発明と係争物との類似性を証言したり、無効理由(特許出願時における先行技術から特許発明をすることが自明であること)に関して証言する場合と比較して、損害専門家が例えば仮装交渉の下での実施料額に関して証言する方が、より不確定的な要素が大きいからです。
→損害専門家 (Damage expert)とは
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留意点 |
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