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 パテントに関する専門用語
  

 No:  1384   

技術的専門家CS3/特許出願/

 
体系 外国の特許法・特許制度
用語

技術的専門家のケーススタディ3

意味  技術的専門家 (technical expert)とは、米国の専門家証人の規則上、技術的な事柄に関して、知識・技能・経験・訓練又は教育により専門家としての適性を有する者をいいます。



内容 @技術的専門家の意義

 事実専門家は裁判において事実のみしか陳述をすることができませんが、技術的専門家を含む専門家証人は、裁判の事案に関して意見を述べることができます。しかしながら、何が裁判上の論点になっているのかを証人自身が理解していることが必要です。

 特許出願に関する裁判では、特許法の用語が論点となる場合が多いのですが、技術者である技術的専門家がその用語の意味を誤解しており、結果として、その証言は裁判で使えないということがあります。

 ここでは特許出願の要件の一つである実施可能要件(enablement)に関して、証人が証言で使用した実現可能性(feasibility)という言葉が法律用語の実施可能性と同じであるかどうかが争われた事例を紹介します。

A技術的専門家の事例の内容

[事件の表示]NEUTRINO DEVELOPMENT CORPORATION v. SONOSITE, INC.,

[事件の種類]特許侵害事件(証人排除の動議に対する略式判決・一部認容一部棄却)

[事件の経緯]

(a)Richard T. Redano は、1997年9月9日に、医療発明(人体の一部についての血行動態の刺激・監視及び薬物伝達の加速の方法及び装置に関する発明)に関して米国に特許出願(08/926209)を行うことで米国特許第5947901号を取得するとともに、その一部継続出願として米国特許出願(09/315867)を行い、特許権(U.S.Pat No. 6221021)を取得しました。

(b)Neutrino Development Corporation(原告)は、前記特許(本件特許)をRedanoから譲り受け、そしてSONOSITE, INC.,(被告)を特許侵害で訴えました。

(c)被告は、抗弁の立証のために7人の証人を立てました。

(d)原告は、全ての証人に対して証人排除の動議、特許侵害の略式判決を求める動議を提出しました。

(e)裁判所は、証人排除の動議を検討し、その一部を認容し、そして本件特許の文言侵害を認める略式判決を出しました。

(f)本記事では、証人の一人であるDonald W.Bakerの証言に関する部分を紹介します。


[当事者の主張]

 Neutrino(原告)は、特許発明の設計の実現可能性(feasibility)に関するBakerの証言は、米国特許法第112条に要求される実施可能要件(過度の実験を必要とせずに製造し使用できる…こと)よりも、より厳格な(rigorous)な分析を本件特許に当てはめるものであると主張した。とりわけ、原告は、証人が実現可能性を“商業的成功”と等しい意味に扱っていると主張した。

 ちなみに連邦巡回裁判所は、米国特許第112条は特許製品が商業的に成功することを要求するものでないことを明確に判示している。

 例えばChristianson v. Colt Indus. Operating Corp., 822 F.2d 1544, 1562を見よ。

 被告は、証人の意見は

・適切な観点(当該技術分野における通常のスキル)から述べられており、

・適当な問いかけ(過度の実験)に対して取り組んでいる

 から本裁判に関係があると主張した。

 被告によれば、証人が述べた実現可能性は、連邦裁判所の判例上で“過度の実験”を要する開示であるか否かを決定するに際して裁判所が考慮できるとされている要素の簡略な表現(short hand)に過ぎない。

zu


[裁判所の判断]

 証人のレポートから、証人は彼のいう“実現可能性”(feasibility)という用語を“実施可能性”(enablement)という法律用語とは交換不可能な意味で使用しているようである。事実、証人は、彼が商業化の準備が整った最終パッケージであると考えるプロトタイプに対するデポジションの質問に対して、肯定的に回答している。

 特許法は、クレームの限定要件として商業化が規定されていない限り、当該業界の通常のスキルを有する者が、完全で商業的に利用できる(commercially viable)実施態様として製造し、使用できる程度に特許が開示されていることを要求していない。

 CFMT, Inc. v. Yieldup Intern. Corp., 349 F.3d 1333, 1338

 証人の証言は、米国特許法第112条の下での問いかけに適用できない基準に基づいている。従って、当該証言は、被告の実施可能要件に基づく抗弁に関連する事実を陪審が解決するのに役に立たない。すなわち、レポートに記載された証人のリサーチ及び開発モデルは間違った質問に対する回答に過ぎず、連邦民事規則第402条に照らして採用することができない。



留意点

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