内容 |
①混同の意義
(a)民法では、同一物の上の所有権と制限物権とが混同した場合には、その制限物権が消滅します(民法179条第1項)。
例えばある土地に対して所有権の他に地上権が存在している場合に、所有権と地上権とが相続その他の理由で同一人に帰する場合には、地上権は消滅します。
民法は、基本的に一物一権主義を採用していますので、特に必要がなければ、できるだけ権利関係をややこしくしたくないのです(→一物一権主義とは)。
但し、その地上権を目的とする質権などが設定されている場合には、この限りではありません(同項ただし書)。
(b)同様に、債権と債務とが同一人に帰した場合にも、原則として、債権は消滅します。
そのような権利を存続させることが無意味だからです。
②混合の内容
(a)特許法においては、特許出願に対して特許査定が行われ、設定登録されたときには、財産権たる特許権が発生します。
特許権者は、他人に対して専用実施権を設定登録することができますが、特許権及び専用実施権の関係は、土地の所有権及び地上権になぞらえることができます。
従って特許権と専用実施権とが混同した場合には、専用実施権が消滅します。
(b)また特許権者は、他人に対して通常実施権を設定することができますが、この通常実施権は債権的権利と考えられます。
従って、特許権と通常実施権とが混同した場合には、通常実施権が消滅します。
(c)また特許出願人は、仮専用実施権及び仮通常実施権を設定することができますが、前述の解説は、これらの権利にも当てはまります。
すなわち、これら仮専用実施権及び仮通常実施権が相続その他の理由により、特許出願人に帰するべきものとなったときには、これらの権利は混同により消滅します。
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