体系 |
権利内容 |
用語 |
特許法第104条の4 |
意味 |
特許法第104条の4は、特許権若しくは専用実施権(以下「特許権等」という)の侵害訴訟又は補償金請求権に係る補償金の支払いの請求に係る訴訟の終局判決が確定した後に、特許無効審決等が確定したときには、当該訴訟の当事者であった者は、当該終局判決に対する再審の訴えにおいて、当該審決が確定したことを主張することができない旨を規定します。
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内容 |
①特許法第104条の4の意義
(a)特許権等の侵害訴訟及び補償金支払い請求訴訟において、当事者は、特許法第104条の3において、特許の有効性及び有効な範囲に関して主張し、立証する機会及び権能を有しています。
→特許法104条の3
それにも拘わらず、後の特許無効審判や訂正審判の結果によって、再審の訴えにより確定判決の既判力が阻害され、損害賠償金の返還を求められたり、一度支払う必要がないとされた賠償金を支払う事態となると妥当ではなく、前記訴訟の紛争解決機能を損ない、企業経営の安定性などの観点から問題があります。
→既判力とは
そこで平成23年の改正により、前記訴訟の終局判決後に特許無効審判等が確定したことを再審において主張できないことを定めた特許法第104条の4の規定が親切されました(工業所有権逐条解説より)。
②特許法第104条の4の内容
(a)規定の適用要件
(イ)特許権等の侵害訴訟又は補償金請求権に基づく補償金支払請求訴訟の終局判決が確定したこと。
補償金請求権とは、特許出願の出願公開が行われた後特許権の設定登録前に特許出願に係る発明を実施した者に対して、警告等を条件として特許出願人が補償金を請求できる権利です(特許法第65条第1項)。
特許出願の出願公開に代えて、国際公開又は国内公表があったときにも同様に請求できます(特許法第184条の10)。
(ロ)前記終局判決の確定後に次の審決が確定したこと。
・当該特許を無効とするべき旨の審決
・当該特許権の存続期間の延長登録を無効にするべき旨の審決
・当該特許の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面を訂正すべき旨の審決であって政令で定めるもの
(ハ)当該終局判決に対する再審の訴えがあったこと
なお、当該訴訟を本案とする仮差押え命令事件の債権者に対する損害賠償の請求を目的とする訴え、並びに、当該訴訟を本案とする仮処分命令事件の債権者に対する損害賠償及び不当利得返還の請求を目的とする訴えを含みます。
債権者が損害賠償等を請求されるという形での紛争の蒸し返しを防止するためです。
(b)適用の効果
当該訴訟の当事者であった者は、当該終局判決に対する再審等の訴えにおいて、当該審決が確定したことを主張できない。
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