内容 |
①確定遮断効の意義
(a)所定の期間内に提起された適式な上訴が、裁判を確定することを阻止する効力を、確定遮断効と言います。
裁判とは、民事訴訟法上、裁判官によって構成される裁判所の意思表示として、その内容に応じた法律効果を生ずる訴訟行為です(→裁判とは)。
裁判の種類として、判決・決定・命令があります。
(b)例えば民事訴訟の終局判決が確定すると、前述の法律効果を生じ、上訴などの通常の不服申立て手段では、取り消される可能性がなくなります(→形式的確定力とは)。
民事訴訟の第一審判決に対しては控訴を、控訴審判決に対しては上告を、これら判決が確定する前に提起することができます。
これらは、下級裁判所の判決に対して上級裁判所の再審理を求める不服申立てですが、その審理中に、原判決が確定することで前述の法律効果が生じてしまうと、その後に原判決が覆される場合に、一旦生じた法律効果を消滅させなければならず、法的な安定性が阻害されます。
そこで前述の不服申立ての効力として、確定遮断効が認められています。
②確定遮断効の内容
(a)特許出願に対して特許権が付与され、特許侵害訴訟が提起された場合において、当該訴訟に敗訴した側の当事者が控訴したときには、確定遮断効が生じます。
例えば侵害行為差止請求事件で原告が勝訴しても、判決が確定する迄は、被疑侵害品の製造・販売が差し止められることはありません。
(b)特許出願又は特許権存続期間延長登録出願の拒絶査定不服審判、無効審判、訂正審判の審決が出され、これに対して審決取消訴訟が出されたときには、当該審決の確定が遮断されます。
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