内容 |
@形式的確定力の意義
(a)民事訴訟において、裁判所の下した判決に対して、所定期間に上訴をしないと、当該判決は確定し、通常の不服申立手段では取り消すことができない状態となります。
この状態となることを形式的確定力と言います。
通常の不服申立手段とは、控訴・上告などの上訴を言い(→上訴とは)、再審や特別上訴は含まれません。
(b)形式的確定力は、実体的確定力に対する概念です(→実質的確定力とは)。
A形式的確定力の内容
(a)特許出願が新規性・進歩性等の実体審査をパスすると、独占排他権である特許権が付与されますが、前記特許出願の日前に公衆に開示された発明から容易に発明できた等の無効理由が存在すると、特許無効審判を請求できます。
この無効審判は、裁判とは異なりますが、その審決は、所定期間内に審決取消訴訟をしないと、判決と同様に確定し、通常の手段では不服申立することができなくなります。
すなわち、形式的確定力が生じます。
(b)2以上の請求項に係る特許については、請求項ごとに特許無効審判が請求できます(特許法第123条第1項但し書き)。
その複数の請求項に対して特許無効審判が請求された場合であって、その複数の請求項の一部を無効とし、残りの請求項に対して無効ではないという審決が出されたときには、前者(無効とされた請求項)及び後者(無効ではないとされた請求項)に関して、それぞれ異なる日付で形式的に確定する可能性があります。
何故なら、前者に対しては不利益を被るのは被請求人であり、後者に対して不利益を被るのは請求人であり、それぞれに審決取消訴訟が提起できるからです。
(c)特許出願・特許権存続期間の延長登録出願の拒絶査定不服審判の審決、並びに訂正審判の審決も、所定の不服申立期間が経過することにより、形式的に確定します。
|