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1455 特許申請/特許出願/特許の活用/進歩性 |
体系 |
特許申請及びこれに付随する手続 |
用語 |
特許申請 |
意味 |
特許申請とは、新規に創作された発明に関して特許庁に対して特許権を付与することを申請することです。
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内容 |
①特許申請の意義
(a)特許申請は、新規な発明を創作した人が、国(特許庁)に対して、特許権(発明を保護するための権利)を申請することを言います。
特許申請は、日常的な用語であり、特許法上の用語を“特許出願”と言います。
(b)現代的な特許制度では、特許権は、技術的なアイディア(発明)の創作に対して与えられるものであり、従って、無関係の他人がした発明について特許を申請することはできません。
すなわち、特許申請をすることができるのは、
・発明者
・発明者から発明の権利(特許を受ける権利)を承継した人
に限られます。
(c)また特許を受けるための要件(特許要件)として
・産業上利用することが可能な発明であること(→産業上利用可能な発明とは)
・発明が新規であること(→新規性とは)
・既に新規になった発明から容易に発明できないこと(→進歩性とは)
・同一の発明について先に他人が特許を申請していないこと(→先願主義とは)
などが必要となります。
②特許申請の内容
(a)特許申請をすることのメリットについて
(イ)特許申請をするメリットは、産業活動において、発明を使用すること(実施)をすることを専有できる権利(特許権)を取得できることです(→発明の実施とは)。
世間の役に立つ発明をしても、特許権の保護を受けずに発明品を市場に出そうとすると、発明の模倣者との競争となり、厳しい価格競争を強いられることになります。
特許権を受けることにより、発明の実施を独占することができ、自分の発明品に対して有利な立場で値段付けをすることができます。
(ロ)企業として特許申請をする場合と異なり、発明家が個人として特許申請をするときには、特許権を取得しても、なかなか自分で事業化することができない(事業を行うための資金がなく、また経営の経験もない)ということが多いです。
自ら実施をすることができない場合の特許の活用方として、次のことが挙げられます。
・取得した特許権を、合理的な対価を条件として他人(企業など)に譲渡する。
・取得した特許権について、合理的な実施料(ロイヤリティ率)の支払いを条件として、他人(企業など)に譲渡する。
(ハ)ロイヤリティ率の相場は、(i)業種により、また(ii)製品の売れ行きに対する当該特許の重要度により、左右されます。
(i)に関しては、製造業では売り上げのA%、アミューズメント(娯楽)業では売り上げのB%というおおよその相場があります。
その理由は、一つのアイディアを製品化して市場に出すための費用の総額のうちで特許権を取得するための費用の割合が業種によって異なるかであると推察されます。
発明を実施するための設備に多額の投資を要する業界では、相対的に製品化に対する発明者の貢献度は低くなります。
具体的には発明協会などで提供されている業種毎のロイヤリティ率の資料などを参考とするのが良いでしょう。
何故なら、裁判所で損害賠償額の決定に際してロイヤリティ率を算定するときにも、こうした客観的なデータに基づいて金額を定めるのが通常だからです。
もっともこうしたデータは、常に最新情報が提供されているわけではないことに留意するべきです。
(ii)に関しては、例えば一つの特許が発明の技術的特徴を決定するようなアイディア商品では、一般論として、特許権者に対して支払うべきロイヤリティは多くなります。
これに対して、(i)とも関連のあることですが、業種により、例えば携帯電話のように、製品が特許の塊と評価されるような業種においては、一個一個の特許権のロイヤリティ率は低く抑えられる傾向があります。
単一の特許発明により製品が成り立っている場合と同額のライセンス料を支払うと、発明の実施者(ライセンシー)の利益の取り分がなくなってしまうからです。
(ニ)特許申請の目的は、最終的な保護形態である特許権を取得することですが、特許申請をしてから特許権が付与されるまでの状態(いわゆる“特許出願中”の状態)では、補償金請求権が付与されます(→補償金請求権とは)
(b)特許申請の準備について
特許申請に先立って、先行技術調査をして特許要件を備えているか否かを確認するなどの準備をすることが望まれます。 →特許申請の準備
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