No: |
1469 当事者系レビューにおける立証責任/特許出願/進歩性 |
体系 |
外国の特許法・特許制度 |
用語 |
当事者系レビューにおける立証責任 |
意味 |
当事者系レビュー(Inter Partes
Review)とは、2012年に米国特許商標庁の下で米国特許の有効性に関してチャレンジする(異議を唱える)ために導入された手続きです。
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内容 |
@当事者系レビューの意義
(a)当事者系レビューの手続は、2012年9月16に米国特許法改正(America Invents Act)の一部として施行されました。
研究開発や特許出願に資金を投入する投資家の期待に応え、特許の質を向上するための制度です。
(b)当事者系レビューでは、発明が特許出願日前に既に公開されていた先行技術と同一であるか(新規性の欠如)、或いは当該特許出願前に公開されていた単一の先行技術或いは複数の先行技術の組み合わせから自明であるか(進歩性の欠如)どうかが特に問題となります。
(c)米国では、発明が特許出願の時点で特許要件を備えていたか否かを立証するときに厳しい基準(明確かつ説得力のある証拠が必要)であるか、より緩い基準(50%を超える程度の確からしさで足りる)で良いのかが問題となります。
当事者系レビューにおいて、立証責任の程度が争われた事例を紹介します。
A当事者系レビューにおける立証責任の内容
(a)In Novartis Pharm. Corp. v. Noven
Pharm., Inc., (125 F. Supp. 3d
474)において地方裁判所は被告(Noven)の自明性の議論を根拠のない(lacking merit)ものとした。Novartis
Pharm. Corp. v. Par Pharm., Inc., (48 F. Supp. 3d 733)並びにNovartis
Pharm. Corp. v. Watson Labs., Inc., (611 F. App’x 988)においても同様である。
(b)当事者系レビューにおいて、米国特許商標庁は、先の裁判における自明性の決定は考慮されないと述べた。その理由は、〔審理の基礎である〕記録が当事者系レビューのそれと異なるからであるという。
しかしながら、衆目が認めるように(admittedly)、記録は実質的に同じであった。
(c)控訴審において、連邦巡回裁判所は、前記当事者系レビューの理由付けを退け、その代りに、当該当事者系レビューの結果を正当化する次のような、証拠の基準(evidentiary
standard)を示した。
‘それにも関わらず、たとえ記録が同じであってとしても、Novartisの議論は法律問題となる。当事者系レビューは、“当事者系レビューの申請人は、非特許性を、地方裁判所の方式である明確かつ説得力のある証拠によって証明するに至らなかったが、証拠の優越性の原則の下で証明した。”と決定した。これは、当事者系レビューが、同じ証拠に基づいて、異なる結論に至ったことを示している。’
→ preponderance of evidence(証拠の優越)とは
(d)ここに示されているのは、証明の方式において、〔特許の〕無効は明確かつ説得力のある証拠で証明されなければならないが、当事者系レビューで要求されるのは証拠の優越性の原則で足りるという考え方である。下記のCuozzo事件での最高裁判所の判決で説明された如く、これは、異なる結果にたどり着く。
“地方裁判所が特許クレームが有効であると認定した後で、米国特許商標庁が独自の見解により当該クレームをキャンセルすることがあるかもしれない。…
しかしながら、こうした可能性は、我々の特許制度では長らく存在している。この制度は、特許クレームの見直し及び裁定のために、米国特許庁の方式と裁判所の方式という2つのトラックを提供しているのである。我々が説明した通り、当事者系レビューは、異議を唱える者(challenger)に対して、異なる証明責任(burden
of
proof)を課する。相互に矛盾する結果を導く可能性のある2つの証拠の基準を用意したのは、我々の議会が設計した仕組みによるものなのである。”
→Burden of proofとは
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