体系 |
外国の特許法・特許制度 |
用語 |
サーシオレイライ(Certiorari) |
意味 |
サーシオレイライ(Certiorari)とは、米国において、主として、下級審からの上訴を取り上げるかどうか原則として最高裁が裁量で決定する仕組み(裁量上訴)を言います。
|
内容 |
@サーシオレイライの意義
(a)サーシオレイライは、もともと、英国において、国王の裁判所が下位の裁判所に対して正式記録の提出を命ずる令状(移送令状)でした。
審理が公平に行われたか、或いは、下位の機関による管轄権の逸脱がなかったかを審理するためです。
なお、“Certiorari”という言葉は、“知らせる”という意味を有するラテン語に由来しています。
(b)現代のアメリカでは、下位裁判所の判決に対する上訴を受理することが上級裁判所の裁量である場合(すなわち、最高裁判所への上訴である場合)に、その上訴を受理する旨の令状、或いは裁量上訴のことを、サーシオレイライと言います。
通常は、特に法律上重要な論点を含む事例に関して裁量上訴が認められます。
そして、最高裁判所が上訴を受理したので裁判記録を移送しなさいと下位裁判所に命令することを、移送命令(writ of
certiorari)と言います。 →writ of certiorari(移送命令)とは
Aサーシオレイライの内容
(a)上記のようにアメリカでは、最高裁判所への上訴(上告)が常に認められる訳ではないので、知的財産の分野で、それが認められた事例はそう多くはありません。
逆に言うと、サーシオレイライが出された事例は、この分野において、重要な意味を有する事件であると言えます。
例えば、Markman事件は、特許侵害事件において、クレーム(特許出願人が発明の保護を求める範囲を記載した文書)に記載された用語の意味を解釈することを裁判官の役目とすることの是非が争われました。
この事例では、ドライクリーニングの管理システムに関して、特許出願人がクレームに用いた“インベントリー(inventory)”が問題となりました。明細書では、インベントリー(財産目録)という用語を、少なくとも衣類の出入りに関して用いていたのに対して、地方裁判所では、陪審は原告側の専門家証人の意見を聴いて“cash
inventory”と用いて衣類の追跡という機能を持たない被告のシステムが原告の特許権を侵害していると評決しました。これに対して、裁判官が評決を覆して特許権を侵害していないと判決しました。
連邦控訴裁判所は、クレームの解釈は裁判官の専権範囲であるとして、原判決を支持したのですが、原告は、この判断は憲法修正第7条に違反すると主張したのです。
憲法修正第7条は、陪審によるトライアルを受ける権利を保障していたからです。 →憲法修正第7条(The Seventh
amendment)とは
|
留意点 |
|
次ページ
※ 不明な点、分かりづらい点がございましたら、遠慮なくお問い合わせください。 |
|