内容 |
@Writ of certiorariの意義
(a)“Writ of
certiorari”とは、上訴された上級審が裁量により事案を見直すことを決定した場合に発するwrit(移送命令)です。
(b)なお、“write”とは、行政的・司法的権限を有する法的オーソリティが発する命令です。
(c)また“certiorari”(サーシオレイライ)とは、もともとラテン語で“より十分に知らしめる”(to be more fully
informed)ことを言います。
(d)そして“Writ of
certiorari”の場合には、最高裁判所が下級裁判所(控訴裁判所)に対して判決の見直しに必要な裁判記録を送付することを命ずることを意味します。
(e)“Writ of certiorari”を求めることを、“petition for writ of
certiorari”と言います。
AWrit of certiorariの内容
(a)日本の最高裁判所への上告と異なり、“petition for writ of
certiorari”は最高裁判所の裁量により認められるものです。一般には、最高裁判所が、特定の論点に関して新しい解釈を示す必要がある場合に、“petition
for writ of certiorari”が許可されます。
(b)知財の分野では、例えばグラハム判決があります。これは、特許出願の要件である進歩性に関して、判断基準を示した事例です。
→グラハム判決とは
発明者は、地面を耕すための農機具(自動車で牽引し、バネの力で農機具の刃を地面にめり込ませるもの)に関する基本発明、及びその改良発明についてそれぞれ特許出願をしました。
どちらも先行技術に対して進歩性を備えているか否かが問題となり、どちらの特許出願も権利化された後に進歩性を巡って特許の有効性が問題となりました。結論として、基本発明の特許は有効性が認められましたが、改良発明の特許は無効と判断されました。グラハム判決は、主として後者に関する事件です。
創作の程度の低い発明に関してどのような判断基準で特許の有効性を判断するべきかに関して、その時点で判例上明らかでありませんでした。
そこで最高裁判所は、“petition for writ of certiorari”を許可したのです。
|