体系 |
実体法 |
用語 |
グラハム判決 |
意味 |
グラハム判決は、1966年に米国特許出願の進歩性判断の基本的な原則を示した判決です。
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内容 |
@米国の特許法では進歩性に関して規定をしていましたが、実際の特許出願の審査で進歩性をどう判断するかが具体的になっていませんでした。
Aグラハム判決では、特許出願の進歩性判断において次の分析方法(グラハムテスト)を提示しました。
(イ)先行技術の範囲と内容とを決定すること。
(ロ)先行技術と対象となるクレームとの差異を明確にすること。
(ハ)関連技術分野における当業者のレベルを確定すること。
(ニ)2次的考察(Secondary Consideration)の証拠を考慮すること。
B我国の審査基準は、特許出願のクレームに係る発明を要素A+B+C…と分解して、単に漫然とそれらが公知であるかどうかを検討するのではなく、一つの先行技術の範囲と内容を認定し、クレームの発明との差異を検討するという手順を示しています。これは、グラハム判決の考え方に準拠しています。
Cグラハム判決は、自らの先行特許との相違点の決定が問題となった一つの事件(グラハム事件→383 U.S.1-I)と、2次的考察が問題となった別の事件(CALMAR事件→383 U.S.1-II)との判決を併合したものです。
Dグラハム判決前の主要判決として1851年のホッチキス事件があり、いわゆる機能的アプローチを示しました。グラハム判決では、この機能的アプローチを再確認しています。
Eグラハム判決後の主要判決としてKSR判決があります。これは、グラハム判決の後に広まったTSMテストの厳格な適用を戒めるものです。
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留意点 |
日本の進歩性審査基準においても、判断の出発点として、引用発明との相違点をピックアップするという作業を行うとされています。
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