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@Doctrine of comityの意義
(a)Doctrine of
comityとは、法律上の義務ではなく、外国に対する礼譲(コミティ)を根拠として、自国において外国の判決の執行を認めることを言います。
(b)すなわち、ある国(nation)が別の国の立法的・行政的・司法的なアクションを自国の領域において承認することを言います{Hilton
v. Guyot (1895)}。
(c)コミティという言葉は、外国に対する礼節や友好を意味するラテン語に由来しますが、米国の最高裁判所は、前述のヒルトン事件において、法律上のコミティは単なる礼節や善意(courtesy
and good
will)の問題ではなく、国際的な義務や利便性、自国の法律の下での市民等の権利の保護の観点から認められるものである旨を述べています。
→Comity(礼譲)とは
(d)例えば、後述の職業上の“資格”に関しては、各国で資格の条件を定めていることが通常です。各国は、基本的に、外国の政府が個人に付与した資格をそのまま認める義務を負いません。
しかしながら、現実問題として、経験豊かな有資格者が居り、その有資格者の助けを必要とする自国の市民が居るのに、その資格が外国政府によって付与されたことのみを理由として、その資格を承認しないとすれば、不便であり、また当該市民の利益を保護出来ない場合があります。
こうした場合に、Doctrine of comityを適用する意味があります。
(e)米国の場合には、州同士の問題にDoctrine of
comityが適用される場合があります。州(state)というものは、もともと国としての地位を有するからです。
ADoctrine of comityの内容
(a)米国において、幾つかの州は、異なる管轄において許可されたプロフェッショナル・エンジニアのライセンスを、資格保有者の教育及び経験に応じて承認しています。
これを、コミティによる免許(licensure by comity)と呼びます。
(b)知的財産の分野では、知的財産権の取得(特許出願など)や管理・助言などに携わる弁護士・弁理士の資格に関して、コミティが適用される余地があります。
米国では、民事訴訟に関して、訴訟に関連する文書その他の情報を、相手方の当事者に提供することを強制する手続(ディスカバリー)がある反面、特定の事柄に対してディスカバリーの対象外であることを主張する権利(秘匿特権)が認められています。
例えば、弁護士と依頼人との間の通信に関する秘匿特権(Attorney Client
Privilege)、弁護士が作成した鑑定書などの文書の内容に関する秘匿特権(Attorney Work
Products)のごとくです。
また米国には、Attorney(弁護士)の他にPatent
Agent(弁理士)という資格があります。
後者は、米国特許商標庁への特許出願の手続についての通信に関して秘匿特権が認められるに過ぎず、法的なアドバイスに関する通信に関して秘匿特権が認められません。
外国の弁理士に関しては、当該外国の法律等に応じて判断されます。
日本の弁理士が作成した文書(日本の法律及び実務に照らして作成された文書)についての通信に関して、秘匿特権を認めた事例としてEisai
v. Reddy(Dec. 21, 2005)のケースがあります。
裁判所は、日本の弁理士が特許出願等の代理、知的関連契約に関する助言、知的財産関連訴訟での弁護士の支援などを行っていることを前提として、comityの原則により、日本の法律で認める秘匿特権を米国においても承認しました。
これに対して、フランス弁理士による文書提出に関して秘匿特権が認められなかった事例もあります(Bristol-Myers
事件)。フランスの法律が同国の弁理士に秘匿特権を認めていなかったため、comityを適用する余地がなかったからであると言われています。
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