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1508 Express license/特許出願/均等論 |
体系 |
ビジネス用語 |
用語 |
Express license(明示ライセンス) |
意味 |
Express
license(明示ライセンス)とは、許諾の意思が直接的な表現で明示されたライセンスを言います。
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内容 |
@Express licenseの意義
(a)まず、“ライセンス”に関して解説すると、辞書(Oxford
Dictionary)のライセンスの項目の1番目には、“何かを行い、使用し、或いは所有することの許可を示す公的な文書”と説明されています。
より具体的には、“ライセンス”とは、権限ある当局が認可する特定の行為を行う権利であって、その認可を得ないと当該行為は違法となるものに関して、その権利を保証する法律文書(instrument)又は書き付け(writing)を指しており、またその権利そのものを意味することもありました。
(b)こうした文書を作成する意図は、前述の権利の存在を明確にし、後日に証拠として用いるためですから、ライセンスとは、本来、明示的なものです。
しかしながら、法律上、“黙示のライセンス”(Implied
lisence)が認められる場合もあるため、これに対する用語として、“明示のライセンス”(Express
lisence)という言葉が用いられています。
AExpress licenseの内容
(a)知財の分野でも、“express
license”という用語が用いられますが、多くは、“明示のライセンス及び(又は)黙示のライセンスのどちらでも”という文脈で使用されています。
(b)Susan v. J. BAKER, INC.,事件(86 F.3d
1098)は、特許出願人が明細書に開示したがクレームに挙げていない事柄に関しては均等論を適用するべきでないと判示された事件ですが、その判決文中に、ライセンシーの義務に関して次のように説示されています。
‘特許発明に関して製造・販売を行う特許権者は、擬制告知(constructive
notice)の利益を得るために、表示条項(marking
provisions)に応える義務を負う。表示条項は、また特許権者のために或いは特許権者の下で特許製品を製造・販売する者にも適用される。35
U.S.C. §
287(a) 従って、{この裁判の当事者である}Targetのようなライセンシー及びTargetのために製造を行う事業者も、それに応える義務を負う。この点に関して次の判例を参照せよ。
Amsted Indus., Inc. v. Buckeye Steel Castings Co., 24 F.3d 178,
185, 30 USPQ2d 1462, 1467-68(は、明示及び黙示のライセンシーに適用される。)’
→擬制告知(constructive notice)とは
(b)また“express license”は、“implied
license”と対比して物事を論ずる場合にも用いられます。
AMP INCORPORATED v. THE
UNITED STATES事件(389 F.2d
448)は、甲と乙との間で締結された技術開発請負契約において、甲(開発者)が技術開発の成果として得た発明について特許出願したときには乙は当該特許に関して実施のライセンス(明示のライセンス)を有する旨の条項が設けられていた場合に、甲が当該契約後に第三者から譲り受けた他の特許(After-aquired
patent)に関して、乙が黙示のライセンスを有するかどうかが問われた事件です。
前述の技術開発の成果として特許出願された発明は、前記他の特許の発明を利用している発明(我が国でいう利用発明)でした。
裁判所は、この事件の論点を次のように整理しました。
“前述の背景から、論点は、単純に、利用特許(dominated
patent)であるByrem特許に対する明示のライセンス(express
license)を許諾された被告が、基本特許であるVinson特許について黙示的にライセンスされたことになるかどうかということになる。”
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